和歌山の人と話していて、「行こら」「できやん」「しちゃある」と言われて一瞬固まった経験はないでしょうか。
関西弁だと思って聞いていると、大阪や京都とは少し違う言い回しが次々に出てきます。
「和歌山弁 よく使う」で検索する方の多くは、旅行や帰省、転勤や進学で和歌山の人と接する前に、まずどの言葉から覚えればよいのかを知りたいはずです。
方言一覧サイトは数百語も並んでいて、どれが今も現役なのか分かりにくいのが本音でしょう。
実は和歌山県は、平成22年度に県内全50市町村を対象に方言の実地調査を行い、語彙449項目・語法53項目を記録した公式アーカイブを公開しています。
この記事では、その県の資料と国立国語研究所の言語地図を参照しながら、地元民が今も日常で使う和歌山弁を30語に絞り、語尾・発音・例文・地域差の順に整理しました。
最後まで読めば、和歌山の居酒屋や商店で「その言葉、どういう意味ですか」と聞き返さずに会話が続けられるようになります。
和歌山弁でよく使う言葉ランキング10|まず覚える定番
結論から言うと、旅行者がまず覚えるべき和歌山弁は、単語ではなく語尾の「〜ら」「〜やん」と、動詞の「しちゃある」です。
この3つは世代を問わず現役で、和歌山市から新宮市まで県内のほぼ全域で耳にします。
次いで、人を指す「おいやん」「あがら」、動作の「いぬ」「つれもて」あたりが日常会話の常連です。

| 順位 | 和歌山弁 | 意味 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 〜ら | 〜しよう(勧誘) | 行こら=行こう |
| 2 | 〜やん | 〜できない(不可能) | 行けやん=行けない |
| 3 | 〜しちゃある | 〜している・〜してある | 置いちゃある=置いてある |
| 4 | あかん | だめ・いけない | そんなんしたらあかんよ |
| 5 | おいやん・おばやん | おじさん・おばさん | 隣のおいやんに聞いたら |
| 6 | あがら | 私たち | あがらの店 |
| 7 | いぬ | 帰る | もういぬわ=もう帰るよ |
| 8 | つれもて | 一緒に | つれもて行こら |
| 9 | やにこい | ものすごい | やにこい雨や |
| 10 | ようさん | たくさん | ようさんもろた |
「おいやん」は、和歌山県文化情報アーカイブの方言50音順にも「オイヤン=伯叔父」として収録されている、県公認とも言える定番語です。
血縁のおじさんだけでなく、近所の年配男性を親しみを込めて呼ぶときにも使われます。
「あがら」は田辺市周辺で「私たちの」という意味で使われ、田辺観光協会が展開するご当地丼「あがら丼」の名前にもなっています。
意味と由来をさらに詳しく知りたい方はあがらの意味と由来をご覧ください。
語尾で覚える和歌山弁|〜ら・〜やん・〜しちゃある・〜のし
和歌山弁の「らしさ」は語尾に集中しています。
ここでは、日常会話で出現頻度の高い語尾を5つに絞り、それぞれ標準語との対応を示します。
語尾さえ押さえれば、初めて聞く単語が混ざっても文全体の意味は推測できます。
「〜ら」は誘うときの語尾
「行こら」「食べよら」「帰ろら」のように、「〜しよう」と誘う場面で使う語尾が「〜ら」です。
標準語の「〜よう」に相当し、大阪弁の「行こか」よりも柔らかく、少し間延びした響きになります。
「ぼちぼち行こら」は「そろそろ行きましょうか」というニュアンスで、地元では別れ際の定番フレーズです。
「〜やん」は「できない」の否定
大阪弁の「〜やん」は「〜じゃないか」の同意を求める意味ですが、和歌山弁の「〜やん」は「〜できない」の不可能表現です。
「行けやん」は「行けない」、「食べれやん」は「食べられない」、「開けやん」は「開けられない」となります。
関西の他府県から来た人が最も誤解しやすいポイントなので、和歌山で「やん」と聞いたら否定だと思ってください。
「〜しちゃある」「〜たーる」は状態を表す
「鍵かけちゃある」「本置いちゃある」のように、「〜してある」「〜している」という結果や状態を表すのが「〜しちゃある」です。
短く「〜たーる」「〜ちゃら」とも言い、「もう来ちゃら」なら「もう来ている」の意味です。
「〜しちゃる」(〜してあげる)と混同しやすいので、「あ」が伸びているかどうかで聞き分けます。
「〜のし」「〜よし」は丁寧・やわらかい語尾
「そうですのし」「ええ天気やのし」の「〜のし」は「〜ですね」にあたる丁寧な文末で、年配の女性を中心に使われてきた言い回しです。
「食べよし」「行きよし」の「〜よし」は「食べなさい」「行きなさい」を柔らかく勧める語尾です。
若い世代では減っていますが、旅館や商店で年配の方と話すと今でも耳にします。
「〜け」「〜てよ」は依頼と親しみ
「取ってけー」は「取ってください」、「こらえてよ」は「ごめんなさい・許して」の意味です。
「〜てよ」は依頼にも謝罪にも付く万能の語尾で、「見てよ」「待ってよ」は標準語とほぼ同じ感覚で使えます。
和歌山弁の発音の特徴|「ざじずぜぞ」が「だぢづでど」になる
和歌山弁で最も有名な特徴は、ザ行がダ行に、ダ行がラ行に近づく発音です。
「全然」が「でんでん」、「座布団」が「だぶとん」、「ぞうきん」が「どーきん」と聞こえる、いわゆる「ザダラ変換」と呼ばれる現象です。
本人は意識せず自然に発音しているので、指摘されて初めて気づく県民も少なくありません。

| 標準語 | 和歌山弁の聞こえ方 | 変化の型 |
|---|---|---|
| 全然 | でんでん | ザ行→ダ行 |
| ぞうきん | どーきん | ザ行→ダ行 |
| 冷蔵庫 | れいどーこ | ザ行→ダ行 |
| うどん | うろん | ダ行→ラ行 |
| 座布団 | だぶとん | ザ行→ダ行 |
一方で、県南部には「じ・ぢ・ず・づ」の四つ仮名を区別して発音する地域が残るとされ、同じ和歌山でも音の特徴は一様ではありません。
全国の方言分布は国立国語研究所『日本言語地図』で確認でき、県の方言調査もこの地図を参考資料として項目を選んでいます。
日常会話でよく使う和歌山弁の例文|場面別
単語を覚えても、実際の会話でどう組み合わさるかが分からないと聞き取れません。
ここでは、旅行者が和歌山で実際に遭遇しやすい4つの場面ごとに、よく使う和歌山弁を短い会話文にしました。
いずれも語尾のルールを当てはめれば意味が取れる構成です。
挨拶・別れ際でよく使う和歌山弁
- 「おおきによう」=ありがとうね
- 「ぼちぼち行こら」=そろそろ行きましょうか
- 「もういぬわ」=もう帰るよ
- 「こらえてよ」=ごめんね・許してね
買い物・食事でよく使う和歌山弁
- 「ようさん入っちゃあるよ」=たくさん入っていますよ
- 「ちょっきし千円や」=ちょうど千円です
- 「なんき」=かぼちゃ(紀北で使われる呼び方)
- 「にんにこ」=おにぎり
- 「みーする」=魚の身をほぐす(骨を取る)
誘う・断るときによく使う和歌山弁
- 「つれもて行こら」=一緒に行こう
- 「今日は行けやんわ」=今日は行けないよ
- 「えらいから休むわ」=疲れたから休むよ
- 「かまへんよ」=大丈夫・気にしないで
感想・状態でよく使う和歌山弁
- 「やにこい寒いな」=ものすごく寒いね
- 「でんでん分からん」=全然分からない
- 「ねぶたい」=眠たい
- 「もじけた」=壊れた
- 「けなりいなあ」=うらやましいなあ
- 「おもろい」=面白い

紀北・紀中・紀南で違う和歌山弁|県の調査で分かる地域差
和歌山弁は一枚岩ではなく、県北部の紀北方言、中部の紀中方言、南部の紀南方言の3つに分かれます。
和歌山県文化情報アーカイブの解説によると、平成22年度の調査は紀北17市町村・紀中16市町村・紀南17市町村の計50市町村(当時)を対象に行われ、同じ物でも地域によって呼び方が異なる語が多数記録されています。
| 区分 | 主なエリア | 特徴の例 |
|---|---|---|
| 紀北方言 | 和歌山市・岩出市・紀の川市・橋本市など | 大阪に近く共通語化が進む。「じてこ」(自転車)など独特の語も |
| 紀中方言 | 有田市・御坊市・日高地方など | 古い語形やアクセントが残るとされる |
| 紀南方言 | 田辺市・白浜町・新宮市・那智勝浦町など | 「あがら」が現役。アクセントや四つ仮名の区別に独自性 |
県の地域別方言ページでは、「かまぼこ」「ねんねこ(子どもを背負う衣類)」「十時の軽食」などが、旧50市町村ごとにどう呼ばれるかを一覧できます。
「私」を表す語だけでも「わえ」「あが」「うち」など複数あり、紀南で「あがら」と言えば「私たち」、紀北ではあまり使わないという差が生まれます。

大阪弁と和歌山弁の違い|同じ関西弁でもここが違う
和歌山弁は関西方言の一種ですが、大阪弁と比べると「〜やん」の意味と、ザ行・ダ行の発音、勧誘の「〜ら」の3点がはっきり違います。
大阪から和歌山へ来た人でも最初は戸惑うのがこの3点です。
| 項目 | 大阪弁 | 和歌山弁 |
|---|---|---|
| 「〜やん」の意味 | 〜じゃないか(同意) | 〜できない(否定) |
| 誘う語尾 | 行こか | 行こら |
| ザ行の発音 | 標準語と同じ | ダ行に近づく(でんでん) |
| 「している」 | してる・しとる | しちゃある・しちゃら |
| 敬語表現 | 〜はる | 「〜はる」は少なく、「〜やして」「〜のし」など |
和歌山弁は「敬語が少ない」と言われることがありますが、これは目上にも親しげな語尾を使う文化があるためで、失礼という意味ではありません。
初対面の方には標準語で話しかければ、相手も自然に合わせてくれます。
旅行者が和歌山弁を使うコツと聞ける場所
旅行者が和歌山弁を無理に使う必要はありませんが、「行こら」「おおきによう」の2つだけは使うと会話が弾みやすい言葉です。
反対に、「〜やん」は意味の取り違えが起きやすいので、聞く専門にしておくのが安全です。
和歌山弁を自然に聞けるのは、和歌山市のぶらくり丁周辺の商店街、田辺市の商店や居酒屋、白浜温泉の外湯など、地元客が多い場所です。
県文化情報アーカイブには「祝儀」「おすそわけ」「訪問」など場面設定の方言会話が音声付きで公開されているので、旅行前に一度聞いておくと現地での聞き取りが格段に楽になります。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方言名 | 和歌山弁(紀州弁) |
| 分類 | 関西方言(近畿方言)の一つ |
| 地域区分 | 紀北方言・紀中方言・紀南方言 |
| 代表的な語尾 | 〜ら(勧誘)・〜やん(不可能)・〜しちゃある(状態)・〜のし(丁寧) |
| 発音の特徴 | ザ行→ダ行、ダ行→ラ行に近づく(ザダラ変換) |
| 公式資料 | 和歌山県文化情報アーカイブ(平成22年度調査・語彙449項目/語法53項目) |
| 運営 | 和歌山県企画部企画政策局文化学術課 |
| 公式URL | wave.pref.wakayama.lg.jp |
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よくある質問
和歌山弁で一番よく使う言葉は何ですか?
単語では「あかん」「おいやん」、語尾では「〜ら」(行こら)と「〜やん」(行けやん)が最も頻繁に使われます。世代を問わず県内ほぼ全域で現役なので、旅行者はこの4つから覚えるのがおすすめです。
和歌山弁の「〜やん」は大阪弁と意味が違いますか?
違います。大阪弁の「〜やん」は「〜じゃないか」と同意を求める意味ですが、和歌山弁の「〜やん」は「〜できない」という不可能の意味です。「行けやん」は「行けない」になります。
和歌山県民は本当に「ざじずぜぞ」が言えないのですか?
「言えない」というより、ザ行がダ行に近い音で発音される傾向があるということです。「全然」が「でんでん」と聞こえるのが代表例で、県南部には四つ仮名を区別する地域もあり、県内でも差があります。
和歌山弁は地域によって違いますか?
違います。和歌山県の方言調査では紀北・紀中・紀南の3方言に区分され、「私」「かまぼこ」「ねんねこ」などは旧50市町村ごとに呼び方が異なると記録されています。「あがら」は紀南の田辺市周辺でよく使われます。
旅行者が和歌山弁を使っても失礼になりませんか?
「行こら」「おおきによう」のような柔らかい言葉なら歓迎されることが多いです。発音の特徴を真似して笑いを取るのは嫌がる方もいるので避け、聞き取れなかったときは素直に聞き返すのが一番です。
まとめ|和歌山弁でよく使う言葉は語尾から覚える
- まず覚える和歌山弁は語尾の「〜ら」(誘う)「〜やん」(できない)「〜しちゃある」(している)の3つ
- 単語では「あかん」「おいやん」「あがら」「いぬ」「つれもて」「やにこい」「ようさん」が日常の常連
- 発音はザ行→ダ行、ダ行→ラ行に近づく。「でんでん」は「全然」、「うろん」は「うどん」
- 県の調査で紀北・紀中・紀南の3方言に分かれ、「あがら」は紀南でよく使う
- 大阪弁との最大の違いは「〜やん」の意味。和歌山では否定と覚える
次は和歌山弁クイズで覚えた言葉を確認するか、和歌山の珍しい地名で読み方の難所も押さえておくと、現地での会話がさらにスムーズになります。




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