和歌山を旅していると、道の駅やお店で耳にする言葉に「今のは大阪弁? それとも別の何か?」と戸惑うことがあります。関西弁のようでいて、どこか響きが違う。語尾が独特で、しかもやたらと距離が近い。そんな感覚を覚えた方は多いはずです。じつは和歌山で話されている言葉は「紀州弁(和歌山弁)」と呼ばれ、近畿方言のなかでもかなり個性的な位置にあります。なかでも有名なのがザ行・ダ行・ラ行が入れ替わる「ザダラ変換」で、「全然」が「でんでん」になるなど、初めて聞くと意味がつかめないことも。この記事では、和歌山弁の3大特徴から、よく使う90語以上の一覧表(意味・使用例・主な地域付き)、「つれもていこら」の意味、紀北・紀中・紀南の地域差、旅行者が使うと喜ばれるフレーズまで、地元目線でまとめてお伝えします。
【結論】和歌山の方言は「和歌山弁」=学術名「紀州弁」:近畿方言の一種で、和歌山県全域と三重県南部(旧紀伊国)で話されます。語彙は大阪弁と近いものの、ザ行がダ行になる発音(全然→でんでん)・敬語をほとんど使わない・「〜のし」「〜ら」などの独特の語尾の3点で区別されます。
一覧の使い方:この記事では90語以上を「あいさつ」「感情・性格」「動作」「程度・量」「語尾」「暮らし・食べ物」の6カテゴリに分け、意味・使用例・主な地域(紀北/紀中/紀南)を表で示しています。地域欄は、和歌山県が平成22年度に県内50市町村(紀北17・紀中16・紀南17)で行った方言調査(和歌山県文化情報アーカイブ)を参考にしました。
よく使う和歌山弁ベスト10
- つれもて=一緒に・連れ立って
- 〜のし=〜ですね・〜だねえ
- 〜ら/〜こら=〜しよう(「行こら」=行こう)
- 〜やしてよ=〜なんだよ
- ほかす=捨てる
- なおす=片付ける・しまう
- ようけ/ぎょうさん=たくさん
- えらい=疲れた・しんどい
- でんでん=全然
- おおきに=ありがとう
「つれもていこら」=「一緒に行こう」。用例:「白浜まで、つれもていこら」(白浜まで一緒に行こう)。和歌山を代表する言い回しで、和歌山市の公式事業名(「WAKAYAMAつれもて健康体操」「つれもて子育て応援ブック」)にも使われています。

和歌山の方言は何弁?「和歌山弁」と「紀州弁」の関係
「和歌山 方言」と調べると、「和歌山弁」と「紀州弁」の2つの呼び名が出てきて迷う方が多いので、先に整理します。和歌山の方言は、日常では「和歌山弁」、学術的・歴史的には「紀州弁」と呼ばれ、指している言葉はほぼ同じです。「紀州」は和歌山県全域と三重県南部にあたる旧国名「紀伊国」のことで、紀州弁という呼び方には三重県南部(熊野地方)の言葉も含まれます。一方「和歌山弁」は和歌山県内の言葉だけを指すのが一般的です。
和歌山県自身も方言を文化資源として記録しており、和歌山県文化情報アーカイブ「和歌山の方言」では、平成22年度の調査結果を「50音順」「地域別」に収録し、昭和59年度の調査で録音された会話音源(和歌山市・御坊市・新宮市・那賀町・田辺市の8件)も公開しています。本記事の一覧表と地域欄は、この県の調査を土台にしています。
和歌山弁(紀州弁)の3大特徴
和歌山弁は、専門的には紀州弁と呼ばれ、和歌山県全域と三重県南部(旧紀伊国)で話されてきた言葉です。近畿方言に分類されますが、山と海に隔てられた地形のため、古い言い回しがよく残っているとされます(Wikipedia「紀州弁」)。旅行者がまず驚くのは、次の3点です。
特徴1:ザ行・ダ行・ラ行が混ざる「ザダラ変換」
和歌山弁を象徴するのがこれです。「ぜんぜん」→「でんでん」、「ざぶとん」→「だぶとん」、「せんたく(洗濯)」→「てんたく」のように、ザ行がダ行に寄る現象がよく知られています。逆方向に「だいこん」が「ざいこん」寄りに聞こえることもあり、話し手や世代によって揺れがあります。若い世代ほど薄れていますが、年配の方の会話では今も健在です。
特徴2:敬語がとても少ない
和歌山弁のもうひとつの大きな特徴が、尊敬語・謙譲語をほとんど使わないことです。年上に対しても「〜してよ」「〜やんか」とフラットに話すのが普通で、これは高知の土佐弁とも似た傾向だと指摘されています。初めて訪れた方は「ぶっきらぼう?」と感じるかもしれませんが、和歌山では敬語を外すこと自体が親しみの表現。悪気はまったくありません。
特徴3:語尾が独特(〜やしてよ/〜のし/〜よし)
「〜やしてよ」「〜のし」「〜よし」「〜のう」「〜ら」など、語尾のバリエーションが豊かです。とくに「〜やしてよ」は「〜なんだよ」「〜だってば」に近い、和歌山らしさが濃い言い回し。「そうやしてよ(そうなんだよ)」のように使います。「〜よし」は軽い命令・勧めで、「行きよし(行きなよ)」といった具合です。
| 分類 | 近畿方言(西日本方言)/紀州弁 |
|---|---|
| 話者地域 | 和歌山県全域+三重県南部(旧紀伊国) |
| 主な特徴 | ザ行・ダ行・ラ行の混同(ザダラ変換)/敬語が少ない/語尾「〜やしてよ」「〜のし」「〜よし」 |
| アクセント | 紀北〜紀中は京阪式が中心。紀南の一部地域では異なる体系が見られるとされる |
| 方言区画 | 紀北・紀中・紀南の3区分(さらに平地/奥地に細分される) |
和歌山弁でよく使う言葉ベスト10(意味と使い方)
「和歌山弁でよく使う言葉を知りたい」という方のために、旅行中に耳にする頻度が高く、地元民が今も日常的に使っている10語を先にまとめます。ここだけ覚えておけば、会話の半分は聞き取れるはずです。
| 順位 | 和歌山弁 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | つれもて | 一緒に・連れ立って | 「つれもていこら(一緒に行こう)」 |
| 2 | 〜のし | 〜ですね・〜だねえ | 「ええ天気やのし(いい天気ですね)」 |
| 3 | 〜ら/〜こら | 〜しよう(勧誘) | 「そろそろ帰ろら(そろそろ帰ろう)」 |
| 4 | 〜やしてよ | 〜なんだよ | 「ここ穴場やしてよ(ここは穴場なんだよ)」 |
| 5 | ほかす | 捨てる | 「それ、ほかしといて(捨てておいて)」 |
| 6 | なおす | 片付ける・しまう | 「傘なおしといてよ(傘を片付けておいて)」 |
| 7 | ようけ/ぎょうさん | たくさん | 「みかんようけあるで(みかんがたくさんあるよ)」 |
| 8 | えらい | 疲れた・しんどい | 「今日はえらかったわ(今日は疲れたよ)」 |
| 9 | でんでん | 全然 | 「でんでんあかん(全然だめ)」 |
| 10 | おおきに | ありがとう | 「おおきによ(ありがとうね)」 |
「おおきに」「えらい」「ぎょうさん」「〜のし」は、和歌山県が昭和59年度に実施した方言調査の会話音源(和歌山県文化情報アーカイブ「方言会話文8選」)でも、和歌山市・那賀・新宮市の会話に実際に登場している言葉です。
和歌山弁一覧|よく使う90語の意味・使用例・主な地域
ここからは、和歌山で実際によく耳にする言葉をカテゴリ別にまとめます。「主な地域」欄は、和歌山県が平成22年度に県内全50市町村(旧市町村)で行った実地調査をまとめた和歌山県文化情報アーカイブ「和歌山の方言」の分布を参考に、紀北(和歌山市・海南・橋本・岩出・かつらぎ・高野周辺)/紀中(有田・湯浅・御坊・日高・みなべ周辺)/紀南(田辺・白浜・すさみ・串本・新宮・那智勝浦周辺)で示しました。県内どこでも通じる語は「県全域」としています。旅行中に聞き取れるだけでも、会話の温度がぐっと変わります。
和歌山弁一覧の見方(6カテゴリ・90語以上)
一覧は次の6カテゴリに分かれています。目的の言葉を探すときは、カテゴリから当たると早いです。
- あいさつ・呼びかけ・人の呼び方(14語):「おおきに」「まいど」「あがら」「われ」など
- 感情・状態・人の性格(20語):「えらい」「もじける」「いらち」「やにこい」など
- 動作・行動(17語):「ほかす」「なおす」「いぬ」「〜ちゃある」など
- 程度・量(7語):「ようけ」「ごっつい」「なんぼ」など
- 語尾・言い回し(13語):「〜やしてよ」「〜のし」「〜ら」「〜きー」など
- 暮らし・自然・食べ物(26語):「きんの」「さいら」「くずし」「おいやん」など
各表の「主な地域」欄で「県全域」とある語は、紀北の和歌山市でも紀南の新宮市でもそのまま通じます。「紀南」とある語は、白浜・串本・新宮方面の旅で耳にする可能性が高い言葉です。

あいさつ・呼びかけ・人の呼び方
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| おはようさん | おはよう | 「おはようさん、今日ええ天気やのう」 | 県全域 |
| まいど | どうも/いつもありがとう | 「まいど、今日は何にする?」 | 県全域 |
| ごめんよ | ごめんください(訪問時) | 「ごめんよ、誰かおる?」 | 県全域 |
| おおきに | ありがとう | 「おおきに、また来てよ」 | 県全域 |
| ほな | それじゃあ | 「ほな、またのう」 | 県全域 |
| いこら | 行こう(勧誘) | 「いこら、そろそろ出発や」 | 県全域 |
| あがら | 自分たち・私たち | 「あがらの町はええとこやで」 | 県全域(各地に点在) |
| われ・わら | あなた・あなたたち | 「われ、どっから来たん?」 | 紀中中心(御坊・美浜・由良など) |
| わい | わたし(自分) | 「わいも行くわ」 | 県全域(紀北〜紀中に厚い) |
| うら | わたし(自分) | 「うらはみかん農家やで」 | 紀北〜紀中 |
| おら | わたし(自分) | 「おらも知らんわ」 | 紀南(田辺・白浜・串本など) |
| おまん・おまはん | あなた・お前さん | 「おまはん、どこ行くん?」 | おまん=紀北〜紀中/おまはん=県全域 |
| てき | あいつ・あの人 | 「てきはもう帰ったで」 | 県全域 |
| おっさん・ぼんさん | お坊さん・和尚さん | 「今日はおっさんが来る日や」 | 県全域 |
感情・状態・人の性格
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| えらい | しんどい・疲れた | 「坂きつうて、えらいわ」 | 県全域 |
| しんど | 疲れる・つらい | 「今日はしんどかったのし」 | 県全域 |
| いちびる | 調子に乗る・ふざける | 「そんないちびりな」 | 県全域 |
| もじける | 壊れる | 「傘がもじけてもうた」 | 県全域 |
| めげる | 壊れる・折れる | 「自転車めげたある」 | 県全域 |
| どんならん | どうにもならない・話にならない | 「雨ばっかでどんならんわ」 | 県全域 |
| あかん | だめ | 「そら、あかんで」 | 県全域 |
| いける | 大丈夫・いい感じ | 「この味、いけるやん」 | 県全域 |
| かまん | 構わない・大丈夫 | 「そのままでかまんよ」 | 県全域 |
| おもんない | つまらない | 「雨で海入られへんの、おもんないわ」 | 県全域 |
| いちゃもん | 言いがかり | 「いちゃもんつけなや」 | 県全域 |
| どんくさい・どくさい | 要領が悪い・不器用 | 「わい、どんくさいさかい時間かかるわ」 | 県全域 |
| いらち | せっかちな人・性急な人 | 「あの人はいらちやさかい、待てんのよ」 | 県全域 |
| あまえた | 甘えん坊 | 「末の子はあまえたでのし」 | 県全域 |
| やんちゃくれ | 暴れん坊・いたずらっ子 | 「小さい頃はやんちゃくれやったんよ」 | 県全域 |
| ほえる | 大声を出す・大声で泣く | 「そんなほえんでもええやん」 | 紀南中心 |
| やにこい・やにこう | すごい・とても | 「今日の海、やにこうきれいやのし」 | 紀南 |
| いっかど | とても・かなり | 「いっかど暑いのう」 | 紀南 |
| つんだある | 混んでいる・詰まっている | 「連休で道つんだあるわ」 | 紀南 |
動作・行動
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| つれもて | 一緒に・連れ立って | 「つれもて行こら(一緒に行こう)」 | 県全域 |
| ほかす | 捨てる | 「そのゴミ、ほかしといて」 | 県全域 |
| なおす | 片付ける・しまう | 「食器なおしといてよ」 | 県全域 |
| いぬ | 帰る | 「そろそろいのか(帰ろうか)」 | 県全域 |
| いんでくら | 帰るよ・帰ります | 「暗なってきたし、いんでくら」 | 紀南 |
| 〜ちゃある | 〜してある | 「もう買うたある(もう買ってある)」 | 県全域 |
| さらう | 掃除する・さらえる | 「溝さろとかなあかん」 | 県全域 |
| てんご | いたずら | 「てんごばっかりしなや」 | 県全域 |
| いてまう | やってしまう・片づける | 「一気にいてまお」 | 県全域 |
| だんない | 差し支えない・平気 | 「そんくらいだんないよ」 | 県全域 |
| ねき | そば・近く | 「駅のねきに停めといて」 | 県全域 |
| いらう | 触る・いじる | 「それ、いらわんといて」 | 県全域 |
| ほる | 投げる・捨てる | 「そっちにほってよ」 | 県全域 |
| ほて | そして・それで | 「雨降ってきて、ほて、びしょ濡れになったんよ」 | 紀北(那賀周辺の会話音源で確認) |
| なっとう | どう・どのように | 「これ、なっとうしたらええ?」 | 紀南 |
| 〜なれ | 〜しなさい(軽い命令) | 「早よ寝なれ」 | 紀南(新宮周辺の会話音源で確認) |
| 〜さけ/〜さか(さかい) | 〜だから(理由) | 「雨ぎょうさん降ったさけ、道悪いで」 | 県全域 |
程度・量
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| ようけ | たくさん | 「みかん、ようけもろたわ」 | 県全域 |
| ごっつい | すごい・とても | 「ごっついうまい魚やのし」 | 県全域 |
| めっちゃ | とても | 「めっちゃ海きれいやん」 | 県全域 |
| いっとう | いちばん | 「ここがいっとううまい店や」 | 県全域 |
| ちょっとかい | 少しだけ | 「ちょっとかいでええわ」 | 県全域 |
| ぎょうさん | たくさん | 「ぎょうさん食べてよ」 | 県全域 |
| なんぼ | いくら | 「これなんぼ?」 | 県全域 |
語尾・言い回し
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| 〜やしてよ | 〜なんだよ | 「ここ、地元でも人気やしてよ」 | 県全域 |
| 〜のし | 〜だねえ・〜ですね(詠嘆) | 「ええ景色やのし」 | 県全域(紀中〜紀南でよく聞く) |
| 〜よし | 〜しなよ(やわらかい勧め) | 「食べてみよし」 | 県全域 |
| 〜のう | 〜だなあ | 「暑いのう」 | 県全域 |
| 〜やん/〜やんか | 〜じゃん | 「うまいやんか」 | 県全域 |
| 〜ら | 〜でしょ/〜だろう/〜しよう | 「そうやら?」「帰ろら」 | 県全域 |
| 〜まい | 〜しよう(勧誘) | 「今から行かまい」 | 県全域 |
| 〜こら | 〜しよう(勧誘) | 「つれもて行こら」 | 県全域 |
| 〜よら | 〜しよう(勧誘) | 「もう寝よら」 | 県全域(紀南でよく聞く) |
| 〜へん/〜やん | 〜ない(否定) | 「行かへん」「知らんやん」 | 県全域 |
| 〜きー | 〜だから(理由) | 「遠いきー、車で行くわ」 | 紀南 |
| 〜かい | 〜ですか(疑問) | 「この道でええんかい?」 | 県全域(御坊周辺の会話音源で確認) |
| 〜やろか | 〜だろうか | 「明日は晴れるんやろか」 | 県全域 |
暮らし・自然・食べ物(県の方言調査に載っている語)
ここからは、和歌山県文化情報アーカイブの「50音順」「地域別」に収録されている、県内で広く使われる名詞を中心に挙げます。直売所や宿の会話で出てくると、意味が分からず困りやすい言葉です。
| 和歌山弁 | 意味 | 使用例 | 主な地域 |
|---|---|---|---|
| きんの・きんのー | 昨日 | 「きんのはおおきによ」 | 県全域 |
| ゆんべ・ゆーべ | 昨晩 | 「ゆんべの雨はすごかったのー」 | 県全域 |
| おひさん | 太陽 | 「おひさん出てきたで」 | 県全域 |
| いなびかり | 稲妻 | 「いなびかりしたら海から上がるんよ」 | 県全域 |
| よだち | 夕立 | 「夕方によだちが来るで」 | 紀北中心(紀南では「ざぶり」) |
| かんかんでり | 炎天下・かんかん照り | 「今日はかんかんでりやのし」 | 県全域 |
| くちなわ | 蛇 | 「そこらへんにはくちなわおらら」 | 県全域 |
| はび | まむし | 「河原にはびおったで、気つけてよ」 | 県全域 |
| でんでんむし | かたつむり | 「畑にでんでんむしわいてるわ」 | 県全域 |
| あま・あまめ | ゴキブリ | 「台所にあま出たわ」 | あま=紀北〜紀中/あまめ=紀南 |
| さいら | さんま | 「さいらの開きしかないんやけど」 | 県全域 |
| なんば・なんばきび | とうもろこし | 「夏祭りでなんば焼いてたわ」 | 県全域 |
| なすび | なす | 「なすびの漬物、食べてみよし」 | 県全域 |
| そこまめ | 落花生 | 「昔からそこまめ好きなんやら」 | 県全域 |
| こいも | 里芋 | 「こいもの煮たん、ようけあるで」 | 県全域 |
| かしん・おかしん | お菓子 | 「かしん買うてきたで」 | 県全域 |
| くずし | かまぼこ | 「くずしも入れとこか」 | 県全域(紀北では「いた」、紀中では「なんばやき」とも) |
| けんずい/よつじゃ | おやつ・軽食(十時や三時の間食) | 「けんずいにしよか」 | けんずい=紀北(橋本・かつらぎ・高野周辺)/よつじゃ=紀中〜紀南 |
| つれ | 仲間・連れ | 「つれと白浜行ってきたんよ」 | 県全域 |
| にーやん・ねーやん | 兄・姉(お兄さん・お姉さん) | 「にーやんに聞いてみよか」 | 県全域 |
| おいやん | おじさん(叔父・伯父) | 「おいやんが迎えに来てくれるわ」 | 県全域 |
| おとんぼ・おちんぼ | 末っ子 | 「うちのおとんぼはまだ小学生や」 | 県全域 |
| おなご | 女性・女の子 | 「おなごの子ばっかりの家や」 | 県全域 |
| おつむ・どたま | 頭 | 「おつむ打たんように気つけてよ」 | 県全域 |
| てっぺん | 山頂・いちばん上 | 「いっそ、てっぺんまでいこらよー」 | 県全域 |
| ちゃんちゃこ・はんちゃ | ねんねこ(子どもを背負うときの着物・背負い帯) | 「寒いさかい、ちゃんちゃこ着せといて」 | ちゃんちゃこ=紀北〜紀中/はんちゃ=県全域(紀南に厚い) |
「つれもていこら」の意味と使い方
和歌山弁を代表するフレーズが「つれもていこら」です。検索で「つれもていこら 意味」と調べる方が多いので、ここで分解して説明します。
つれもて=「一緒に」「連れ立って」
「つれもて」は「一緒に」「みんなで連れ立って」という意味の副詞です。「連れ持ちて(連れ立って)」が変化したものと説明されることが多く、和歌山では世代を超えて通じます。和歌山市の公式事業にも「WAKAYAMAつれもて健康体操」(仲間と一緒に続ける健康体操)や「つれもて子育て応援ブック」があり、「みんなで一緒に」というニュアンスで使われていることが分かります。
いこら=「行こう」
「いこら」は「行こう」。「〜ら」「〜こら」「〜よら」は和歌山弁の勧誘表現で、「行こら(行こう)」「寝よら(寝よう)」「しよら(しよう)」のように使います。県の方言会話音源では、新宮市の会話に「〜ラヨ(〜ましょう)」の形が登場し、田辺の言葉としても「いこら」「寝よら」が紹介されています。つまり「つれもていこら」を直訳すると「一緒に行こう」になります。
使い方の例
- 「白浜まで、つれもていこら」=白浜まで一緒に行こう
- 「つれもて食べよら」=一緒に食べよう
- 「つれもてしよら」=一緒にやろう
旅仲間への一声としてはもちろん、地元の人に言われたら「一緒にどう?」と誘われているサインです。返事は「行こら!」「ええで(いいよ)」で十分通じます。
紀北・紀中・紀南で違う和歌山弁の地域差
和歌山県は南北に約140km。和歌山県公式サイトでも県内は地域ごとに紹介されていますが、方言もまさに地域ごとに顔が違います。紀州弁は大きく紀北・紀中・紀南の3つに分けられ、さらに海沿いの平地と山間の奥地でも差があるとされます。和歌山県文化情報アーカイブの地域別調査でも、「紀北方言・紀中方言・紀南方言」の三方言に区別して、旧50市町村ごとの語形が記録されています。たとえば「蒲鉾」は紀北で「いた」、紀中で「なんばやき」、「夕立」は紀北で「よだち」、紀南で「ざぶり」というように、同じ物でも呼び名が変わります。
紀北(和歌山市・海南・岩出・橋本・高野山周辺)
大阪に近く、いちばん大阪弁に似ているエリアです。「〜やん」「〜へん」など大阪と共通する言い方が多く、旅行者にとっては聞き取りやすい地域。ただし「〜のし」「つれもて」など和歌山らしい語も日常的に使われます。和歌山市公式サイトのイベント名などにも、地元らしい言葉が登場することがあります。
紀中(有田・御坊・日高)
紀北と紀南の中間で、両方の特徴が混ざります。みかんの産地でもあり、農作業まわりの言葉が豊富。語尾の「〜のし」「〜よし」がよく聞かれるのもこのあたりです。
紀南(田辺・白浜・串本・新宮・那智勝浦)
いちばん個性が強いエリアです。「〜きー(〜だから)」など紀南らしい言い回しがあり、アクセントも紀北とは異なる体系が見られるとされます。「やにこう(とても)」「なっとう(どう)」「いんでくら(帰るよ)」のように、紀北の人が聞いても意味が取りにくい語も残っています。とくに県境に近い新宮周辺は三重県側の言葉とも近く、和歌山市の人が聞いても「ちょっと違う」と感じるほど。方言の全国的な分布については国立国語研究所の研究成果も参考になります。
白浜や那智勝浦をめぐる旅の流れは和歌山観光モデルコースでも紹介しています。紀北の高野山までまとめて回るなら高野山観光もあわせてどうぞ。
旅行者が使うと喜ばれる和歌山弁フレーズ

方言は無理に使う必要はありませんが、ひとことだけ混ぜると、和歌山の人はほぼ確実に笑顔になります。おすすめは次のフレーズです。
| フレーズ | 意味 | 使いどころ |
|---|---|---|
| つれもて行こら | 一緒に行こう | 和歌山を代表する言い回し。旅仲間への一声に |
| ごっついうまい | すごくおいしい | 食堂・寿司屋・道の駅で |
| おおきに | ありがとう | 会計時・見送られたとき |
| ええとこやのし | いい所ですねえ | 景色を褒めるとき |
| まいど | どうも | 店に入るとき・出るとき |
ポイントは全部を方言にしないことです。標準語のなかに「おおきに」「ごっついうまい」を1つ混ぜるだけで十分伝わります。無理に語尾までまねると、かえってぎこちなく聞こえてしまいます。
観光地で耳にする和歌山の言葉
観光中に「これ何の話だろう?」となりやすい言葉を挙げておきます。
- 「なおしといて」=片付けておいて。修理ではありません。宿や食堂でよく聞きます。
- 「ほかしといて」=捨てておいて。ゴミの案内で登場します。
- 「ねきに停めて」=近くに停めて。駐車案内で使われます。
- 「かまんよ」=大丈夫ですよ。気遣いに対する返しです。
- 「ようけ入れとくわ」=たくさん入れておくね。市場やみかん直売所の名物ワードです。
- 「でんでんあかん」=全然だめ。ザダラ変換の代表例です。
市場や直売所では、そのまま買って帰れるものも多くあります。おみやげ選びは和歌山のお土産もあわせてチェックしてみてください。
大阪弁との違いはどこにある?

「和歌山弁=大阪弁でしょ」と思われがちですが、地元の人は明確に区別しています。違いは主に4点です。
| 比較項目 | 和歌山弁(紀州弁) | 大阪弁 |
|---|---|---|
| ザ行の発音 | ダ行に寄ることがある(でんでん) | 基本的に変化しない |
| 敬語 | ほとんど使わない場面が多い | 「〜はる」など敬語表現が発達 |
| 特徴的な語尾 | 〜やしてよ/〜のし/〜よし/〜まい | 〜やねん/〜へんねん/〜やで |
| 一緒に行こう | つれもて行こら | いっしょ行こ |
とくに大きいのが敬語の差です。大阪弁には「〜はる」という便利な軽い敬語がありますが、和歌山弁ではこれをあまり使いません。そのぶん距離が近く、初対面でも一気に打ち解ける空気が生まれます。和歌山で「タメ口で話しかけられた」と感じたら、それは歓迎のサインだと思ってください。
よくある質問
和歌山の方言は何弁と呼ばれますか?
日常では「和歌山弁」、学術的・歴史的には「紀州弁」と呼ばれます。近畿方言の一種で、和歌山県全域と三重県南部(旧紀伊国)で話されています。特徴はザ行がダ行寄りになる発音(全然→でんでん)、敬語をほとんど使わないこと、「〜のし」「〜やしてよ」「〜ら」などの独特の語尾の3点です。和歌山県文化情報アーカイブでは、平成22年度に県内50市町村で行った方言調査の結果が公開されています。
和歌山弁の一覧はどこで確認できますか?
この記事では、あいさつ・感情・動作・程度・語尾・暮らしの6カテゴリで90語以上を、意味・使用例・主な地域(紀北/紀中/紀南)付きの表にまとめています。より網羅的な一次資料としては、和歌山県文化情報アーカイブ「和歌山の方言」が50音順・地域別に調査結果を掲載しており、昭和59年度調査の会話音源8件(和歌山市・御坊市・新宮市・那賀町・田辺市)も聞くことができます。
「つれもていこら」の意味は何ですか?
「一緒に行こう」という意味です。「つれもて」が「一緒に・連れ立って」、「いこら」が「行こう」(〜ら=〜しよう、という勧誘の語尾)で、和歌山弁を代表するフレーズです。「つれもて食べよら(一緒に食べよう)」「つれもてしよら(一緒にやろう)」のように応用できます。和歌山市の公式事業名(つれもて健康体操など)にも使われています。
和歌山弁でよく使う言葉は何ですか?
日常でとくによく使われるのは「つれもて(一緒に)」「〜のし(〜ですね)」「〜ら/〜こら(〜しよう)」「〜やしてよ(〜なんだよ)」「ほかす(捨てる)」「なおす(片付ける)」「ようけ/ぎょうさん(たくさん)」「えらい(疲れた)」「でんでん(全然)」「おおきに(ありがとう)」の10語です。このうち「おおきに」「えらい」「ぎょうさん」「〜のし」は、和歌山県の方言調査の会話音源にも登場します。
和歌山弁と紀州弁は同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われます。学術的な呼び名が「紀州弁」で、和歌山県だけでなく三重県南部(旧紀伊国)の言葉も含みます。日常会話では「和歌山弁」と呼ばれることが一般的です。
「でんでん」はどういう意味ですか?
「全然」のことです。和歌山弁ではザ行がダ行寄りに発音されることがあり、「ぜんぜん」が「でんでん」と聞こえます。「でんでんあかん」で「全然だめ」という意味になります。若い世代では使わない人も増えています。
和歌山弁は今も日常的に使われていますか?
使われています。とくに語尾の「〜やん」「〜のし」「〜やしてよ」や、「ほかす」「なおす」「つれもて」といった語彙は世代を問わず現役です。一方でザダラ変換のような発音の特徴は、若い世代ほど薄れる傾向にあります。
「つれもて」の語源は何ですか?
「連れ持ちて(連れ立って)」が変化したものと説明されることが多い言葉ですが、確定した定説として断定できるものではありません。意味は「一緒に・連れ立って」で、「つれもて行こら(一緒に行こう)」の形で和歌山を代表するフレーズとして親しまれています。
まとめ
和歌山弁(紀州弁)は、ザ行・ダ行・ラ行が混ざるザダラ変換、敬語をあまり使わないフラットさ、「〜やしてよ」「〜のし」といった独特の語尾という3つの特徴を持つ、近畿方言のなかでも個性的な言葉です。同じ県内でも紀北は大阪寄り、紀南は独自色が強く、南北で表情が変わります。
旅行者としては、すべてを覚える必要はありません。「おおきに」「ごっついうまい」「つれもて行こら」の3つを持っていくだけで、和歌山の人との距離は驚くほど縮まります。敬語が少ないのは冷たさではなく親しみの証。そう知っておけば、和歌山の旅はもっと温かいものになるはずです。


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