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和歌山の珍しい地名10選|学文路・見老津・雑賀崎の由来と現地の歩き方

和歌山の珍しい地名10選|学文路・見老津・雑賀崎の由来と現地の歩き方

和歌山の地図や駅名標を眺めていると、「学文路」「見老津」「雑賀崎」のように、一度見たら忘れられない珍しい地名に次々と出会います。読めなくて検索したものの、読み方だけ分かって終わり、という方も多いのではないでしょうか。

実は和歌山の珍しい地名の多くは、万葉集に詠まれた古い呼び名や、中世の荘園の名前、海辺の地形がそのまま残ったもので、現地に立つと「なぜこの名前なのか」が景色ごと分かる場所ばかりです。

この記事では、和歌山県内の珍しい地名を由来とあわせて紹介し、駅や神社、海辺の集落など旅行者が実際に訪ねられる場所への行き方まで、地元目線でまとめました。読み方クイズは別の記事に任せて、ここでは「由来と現地の話」を掘り下げます。最後には、珍しい地名だけを巡る紀北・紀南の2ルートも用意しました。

地元では「かむろ」「みろづ」と当たり前に呼びますが、初めて聞く人はほぼ読めません。読み方だけ覚えて終わるのはもったいなくて、駅を降りると地名の意味が海や山の景色で腑に落ちる場所が多いです。(監修・中島)

和歌山に珍しい地名が多い3つの理由

和歌山の珍しい地名は、偶然の当て字ではなく古い時代の呼び名がそのまま現代まで生き残ったケースが目立ちます。大きく分けると次の3つの流れがあります。

  • 万葉の時代から詠まれてきた土地:和歌山市の和歌の浦や雑賀崎は、奈良時代の歌に登場する地名が今も使われています。和歌山市公式によると、724年の聖武天皇の行幸と山部赤人の歌がきっかけで「和歌の聖地」として知られるようになりました。
  • 中世の荘園名が地名として残った土地:紀の川市の鞆渕は、紀の川市公式にも「鞆渕荘16ヶ村」と記されるように、荘園の名前がそのまま地区名になっています。
  • 鉄道の駅名になって全国に知られた土地:学文路や見老津は、集落の名前が駅名になったことで「難読駅名」として県外にも広まりました。

つまり和歌山の珍しい地名は、歌・荘園・鉄道という3つの入口から読み解くと、旅先で見える景色がぐっと立体的になります。ここからは、県内を北から南へ順に見ていきましょう。

南海高野線の学文路駅ホームと駅名標
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)

学文路(かむろ)|橋本市・南海高野線の「学問の路」

和歌山県橋本市の学文路は、「かむろ」と読む南海高野線の駅名として最も有名な珍しい地名です。南海電鉄の公式駅情報では、学文路駅(駅番号NK79)は紀伊清水駅と九度山駅の間にあり、住所は橋本市学文路361番地1、快速急行・急行・各駅停車が停車します。

地名の由来には諸説があり、市や鉄道会社の公式サイトで断定された説明は確認できませんでした。ただ「学文(学問)の路」と読める字面から、受験シーズンに縁起の良い駅として親しまれていることは地元でもよく知られています。学文路駅の入場券を受験のお守りとして求める人がいることでも知られますが、販売の有無・時期・価格は年によって変わるため、南海電鉄の公式発表で最新情報をご確認ください。

訪ねる際の注意点として、南海公式によると学文路駅は駅係員が終日不在で、用事がある場合はインターホンで呼び出す形になります。エレベーターや車椅子対応トイレは整備されており、駅から高野山方面へ向かう途中に立ち寄る使い方が現実的です。駅の近くには学文路天満宮があり、一駅先の九度山と合わせて歩くと、高野山の入口としての雰囲気を味わえます。高野山の観光情報は高野山観光ガイドでまとめています。

駅の詳細は南海電鉄公式・学文路駅をご覧ください。

海を見下ろす紀勢本線の見老津駅
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)

見老津(みろづ)・周参見(すさみ)・古座(こざ)|紀南の海辺に残る地名

和歌山県南部のすさみ町から串本町にかけては、JRきのくに線の駅名がそのまま珍しい地名の見本市になっています。周参見、見老津、古座と、列車で南下しながら順に訪ねられるのが紀南ルートの魅力です。

周参見(すさみ)|奉行所が置かれた口熊野の中心

すさみ町の町名の元になった周参見は、町の中心集落です。すさみ町公式によると、町は紀伊半島の南南西部に位置し、面積は174.45平方キロメートル。明暦3年(1657年)には周参見に口熊野奉行所が置かれ、寛政11年(1799年)に代官所へ改組されたと記されています。江戸時代には紀州藩の南の拠点だった土地です。

「すさみ」の由来については「荒れすさぶ海」に由来する説や荘園名に由来する説が語られますが、町の公式サイトで由来の断定は確認できませんでした。町公式が記す産業としては、ケンケン船の基地としてカツオ・ヨコワ・ブリが水揚げされること、戦前からレタス栽培が行われていることが挙げられています。また、国指定天然記念物の江須崎島・稲積島の原生林や、熊野古道大辺路街道が町内を通ることも公式に紹介されています。

見老津(みろづ)|海が見える小さな駅

周参見から列車でさらに南へ進むと、「みろづ」と読む見老津駅に着きます。JR西日本の駅情報では、所在地はすさみ町見老津で、みどりの窓口や券売機のない小さな駅です。ICOCAの利用可否など最新の設備はJRおでかけネット・見老津駅でご確認ください。地名の由来については公式資料で確認できず、本記事では断定しません。それでも、駅の前に太平洋が広がる立地は、地名以上に旅人の記憶に残ります。

古座(こざ)|古座川と河内祭の町

すさみ町の南隣、串本町の東部にあるのが古座です。旧古座町は串本町と合併し、現在は串本町の「古座エリア」として案内されています。串本町公式の観光ページでは、古座エリアの見どころとして古座川・荒船海岸・重畳山(かさねやま)が挙げられています。町公式の別ページでは、古座川流域で行われる河内祭(こうちまつり)が国の重要無形民俗文化財で、熊野水軍の凱旋の姿を伝えるといわれる祭りだと紹介されています。日程は毎年の公式発表をご確認ください。

古座の詳細は串本町公式・古座エリアのみどころ、周参見についてはすさみ町公式・町の概要が一次情報です。串本エリア全体の回り方は串本の観光スポットでも紹介しています。

斜面に家々が立ち並ぶ雑賀崎の集落と漁港
写真: Yaruze / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

雑賀崎(さいかざき)・和歌浦(わかのうら)|和歌山市の万葉の地名

和歌山市の南西部、海に面した一帯には奈良時代の歌に登場する地名が今も残っています。県外の人が「さいかざき」「わかのうら」と正しく読めることは少ないものの、和歌山市民にとっては週末の散歩コースとして身近な場所です。

雑賀崎(さいかざき)|「日本のアマルフィ」と呼ばれる港町

和歌山県公式観光サイトによると、雑賀崎は「万葉の時代から景勝地として知られる港町」で、斜面に家々が立ち並ぶ独特の景観が「日本のアマルフィ」とも称されています。2017年に日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」の構成要素として認定されました。漁港では新鮮な魚の直接販売が行われ、集落内にはカフェもあり、4〜10月には和歌浦湾クルーズが運行すると案内されています。

「雑賀」の名は戦国時代の鉄砲集団・雑賀衆の名でも知られ、万葉集にも詠まれた古い地名と伝わります。由来の詳細は諸説あるため本記事では断定しませんが、奈良時代から名前が残る土地に集落が続いていること自体が、この地名の面白さです。

アクセスは、県公式によると車で阪和自動車道和歌山南スマートICから約20分、バスはJR和歌山駅または南海和歌山市駅から「雑賀崎循環線」で「雑賀崎」バス停下車です。周辺には雑賀崎灯台、番所庭園、養翠園があります。詳細は和歌山県公式観光サイト・雑賀崎をご確認ください。

和歌浦(わかのうら)|「和歌」の聖地になった浦

雑賀崎の東に広がる和歌浦は、和歌山市公式によると724年に聖武天皇が行幸し、干潟の景観に感銘を受けたことが「和歌の浦」の名の由来とされています。万葉歌人・山部赤人が詠んだ「若の浦に潮満ちくれば潟をなみ芦辺をさして鶴鳴きわたる」の歌は『古今和歌集』にも載り、玉津島は「和歌の聖地」として注目されるようになりました。歌の中では「若の浦」と表記されている点も、地名の変化を感じさせます。

和歌山市公式では、日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」の構成文化財として玉津島神社・片男波・不老橋・雑賀崎・番所庭園などが挙げられ、2017年度に認定されたと記されています。歩いて回れる範囲に構成文化財が集まっているため、半日で「地名の由来を現地で確認できる」珍しいエリアです。詳しくは和歌山市公式・日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」をご覧ください。デート向きの回り方は和歌山のデートスポットでも触れています。

紀の川市中鞆渕にある鞆淵八幡神社の社殿
写真: Takato Marui (w:Flickr user m-louis) / Wikimedia Commons (CC BY-SA 2.0)

鞆渕(ともぶち)|紀の川市の山里に残る荘園の名

紀の川市の南部、山あいに位置する鞆渕(上鞆渕・中鞆渕・下鞆渕)は、中世の荘園「鞆渕荘」の名前が現代の地区名として残った典型例です。紀の川市公式によると、鞆淵八幡神社はもとは鞆渕荘16ヶ村の産土神で、帝の寵愛を受けた鶴千代姫が安貞2年(1228年)に帰郷した際、石清水八幡宮の別宮として勧請したと伝えられています。

この神社が珍しい地名の目的地として外せないのは、室町期の社殿と大御堂が国の重要文化財であり、さらに市公式の文化財欄に国宝「沃懸地螺鈿金銅装神輿(いかけじらでんこんどうそうしんよ)」が記されている点です。山里の小さな集落に、都とつながる荘園時代の遺産が伝わっているところに、地名の由来を実感できます。

紀の川市公式の基本情報では、住所は紀の川市中鞆渕58、拝観料は無料、交通は上之郷ICから約45km・約80分、またはJR笠田駅から車で約30分と案内されています。公共交通で行きにくいため、車での訪問が現実的です。神輿の公開や祭礼の日程は公式サイトで最新をご確認ください。詳細は紀の川市公式・鞆淵八幡神社にまとまっています。

古座川町の巨岩・一枚岩と清流
写真: アラツク / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

まだある和歌山の珍しい地名と、巡り方のコツ

ここまで紹介した5か所以外にも、和歌山には読めそうで読めない地名が点在しています。由来まで公式資料で確認できたものは限られるため、この表では読み方と所在地だけを整理しました。

地名 読み方 所在地 訪ねる場所の目安
学文路 かむろ 橋本市 南海高野線・学文路駅
見老津 みろづ すさみ町 JRきのくに線・見老津駅
周参見 すさみ すさみ町 JRきのくに線・周参見駅周辺
古座 こざ 串本町 古座川・古座駅周辺
雑賀崎 さいかざき 和歌山市 雑賀崎漁港・雑賀崎灯台
和歌浦 わかのうら 和歌山市 玉津島神社・片男波・不老橋
鞆渕 ともぶち 紀の川市 鞆淵八幡神社
湊 みなと 和歌山市 市街地の町名
毛原 けはら 紀美野町 山間部の集落名
栗栖川・熊瀬川 くりすがわ・くませがわ 田辺市(中辺路) 熊野古道中辺路の通過集落

巡り方のコツは、紀北は車、紀南は列車と割り切ることです。和歌山市の雑賀崎・和歌浦は市内バスでも回れますが、紀の川市の鞆渕や橋本市の学文路まで足を延ばすなら車が便利です。一方、周参見・見老津・古座はいずれもJRきのくに線の駅名なので、列車で駅に降りるだけで「地名の現地」に立てます。

ルート 主な立ち寄り先 移動手段 ポイント
紀北・地名ルート 雑賀崎→和歌浦→鞆渕→学文路 車 万葉→荘園→駅名と、時代順に地名の由来をたどれる
紀南・駅名ルート 周参見→見老津→古座 JRきのくに線 本数が少ないため時刻表を事前確認。海の見える車窓が続く

紀南ルートは列車の本数が限られるため、JR西日本の時刻表で事前に確認してください。車で紀南を走るなら、和歌山のドライブコースと組み合わせると効率的です。人の少ない場所を選びたい方は和歌山の穴場スポットも参考になります。

⚠ 注意本記事で紹介した地名の由来は、市町村・県・鉄道会社の公式サイトで確認できた内容に限っています。由来に諸説ある地名は「諸説あり」と明記し、断定を避けました。訪問前の営業情報や祭礼日程は各公式サイトで最新をご確認ください。

よくある質問

和歌山で一番珍しい地名はどれですか?

公式なランキングはありませんが、県外の人に「読めない」と言われる代表格は学文路(かむろ)と見老津(みろづ)です。どちらも駅名になっているため、旅行者が現地に立ちやすい地名でもあります。

学文路駅の入場券はいつでも買えますか?

受験の縁起物として知られる学文路駅の入場券は、販売の有無・時期・価格が年によって変わります。南海電鉄公式によると学文路駅は駅係員が終日不在のため、購入方法を含めて南海電鉄の公式発表で最新情報を確認してからお出かけください。

車がなくても和歌山の珍しい地名を巡れますか?

巡れます。周参見・見老津・古座はJRきのくに線の駅、学文路は南海高野線の駅なので、列車で降りるだけで訪問できます。雑賀崎は和歌山市内から「雑賀崎循環線」のバスで行けます。鞆渕だけは車での訪問が現実的です。

地名の由来はどこで詳しく調べられますか?

最も確実なのは、各市町村の公式サイトの文化財・観光ページと、和歌山県公式観光サイト、日本遺産の公式ストーリーです。図書館で『紀伊続風土記』などの地誌を調べる方法もあります。ネット上の由来解説には諸説が混在するため、公式資料に当たってから判断するのがおすすめです。

まとめ|和歌山の珍しい地名は「現地で意味が分かる」

まとめ

  • 和歌山の珍しい地名は、万葉の歌・中世の荘園・鉄道駅名という3つの流れで残ってきた
  • 学文路(かむろ)は南海高野線の駅名。駅係員は終日不在で、受験の縁起物としても知られる
  • 周参見・見老津・古座はJRきのくに線で順に訪ねられる紀南の地名。周参見には江戸時代の奉行所が置かれた
  • 雑賀崎・和歌浦は724年の聖武天皇行幸に由来が語られ、2017年度に日本遺産の構成文化財になった
  • 鞆渕は荘園「鞆渕荘」の名を継ぐ地区で、鞆淵八幡神社に国宝の神輿と国重文の社殿が伝わる

読み方だけを知りたい方は、和歌山の難読地名を読み方クイズ形式でまとめた記事もあわせてご覧ください。地元の言葉や暮らしの空気感を知りたい方には、和歌山弁一覧や和歌山あるある50選、和歌山弁クイズもおすすめです。県内の定番スポットを押さえるなら和歌山の観光地から回り方を決めてみてください。


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和歌山タイムズ編集部(株式会社Tip)
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