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和歌山の方言一覧|語尾・あいさつ・ザダラ変換まで地元民が約70語を解説

和歌山の方言一覧|語尾・あいさつ・ザダラ変換まで地元民が約70語を解説

「和歌山の方言って、大阪弁と何が違うの?」と聞かれて、言葉に詰まった経験はありませんか。

ネットで「和歌山 方言一覧」を調べても、どのページも同じ10語ほどが並ぶだけで、和歌山の市場や温泉で実際に耳にした言葉が見当たらない。そんなもどかしさを感じている方も多いはずです。

実は和歌山弁は、県知事が2024年6月の公式メッセージで「和歌山弁を大事にして、後世にしっかり残していこらよ」と呼びかけるほど、県として大切にされている言葉です。しかも紀北・紀中・紀南で、なまりも語尾も変わります。

この記事では、和歌山歴35年の監修者が、語尾・人の呼び方・動詞・形容詞・暮らしの言葉まで約70語を一覧表にまとめました。有名な「ザダラ変換」の仕組み、地域ごとの違い、旅先で使っても失礼にならない言葉の選び方も解説します。

最後まで読めば、和歌山の人の会話が「聞き取れる」だけでなく、ひとこと返せるようになります。

地元民のひとこと:和歌山の人は語尾に「〜やしてよ」「〜ら」が付くだけで、怒っているわけではありません。ガイドブックには載りませんが、観光地の売店より、地元のスーパーのレジや朝の市場のほうが生きた和歌山弁はよく聞けます。

和歌山の方言一覧を見る前に|和歌山弁(紀州弁)の3つの特徴

和歌山の方言は「紀州弁」「和歌山弁」と呼ばれ、近畿方言の一つに分類されます。大阪弁に似ていますが、発音・敬語の少なさ・地域差の3点で大きく性格が異なります。この3つを先に押さえておくと、後の一覧表がぐっと頭に入りやすくなります。

和歌山市のシンボル・和歌山城の天守閣
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)

特徴1:「ざじずぜぞ」と「だぢづでど」が入れ替わる(ザダラ変換)

和歌山弁で最も有名なのが、ザ行とダ行の音が入れ替わる現象です。「ぜんぜん」が「でんでん」に、「座布団」が「だぶとん」に聞こえます。和歌山大学の留学生エッセイコンテスト作品でも、「ざじずぜぞ」と「だぢづでど」の発音が区別されないことが和歌山弁の特徴として取り上げられており、留学生が戸惑うポイントとして知られています。

ただし県民全員がそう発音するわけではありません。年配の方や紀北の下町でよく聞かれ、若い世代ほど標準的な発音に近づいています。ラ行の音まで混ざる「ザダラ変換」と呼ばれることもあります。

特徴2:敬語が少なく、誰にでも同じ言葉で話す

和歌山弁には敬語表現が少ない、とよく言われます。和歌山県知事の2024年6月3日のメッセージでも、紀州方言に敬語がない理由として「歴史的に上下関係が少なく、平等の思想が古くから根付いていた」という司馬遼太郎の説が紹介されています。

旅行者から見ると、お店の人の言葉がぶっきらぼうに感じるかもしれません。しかし「〜やしてよ」「〜のし」と語尾が柔らかいのは、親しみを込めている証拠です。

特徴3:紀北・紀中・紀南で語尾が変わる

同じ知事メッセージには「和歌山弁と言っても、紀北、紀中、紀南と地域ごとになまりが違います」とあります。和歌山県は南北に長く、山で隔てられた地域が多いため、同じ県内でも語尾や言い回しが変わります。地域差は後半の章で表にまとめました。

和歌山の方言一覧【語尾・文末表現】

和歌山弁らしさは語尾に集中しています。単語を知らなくても、語尾の意味が分かれば会話の8割は追えます。まずは日常で最も耳にする文末表現から一覧で確認しましょう。

方言 意味 使い方の例
〜やしてよ/〜やして 〜じゃないか、〜でしょう(念押し) 「簡単やしてよ」=簡単じゃないか
〜ら 〜しよう/〜だろう 「いこら」=行こう、「そうやら」=そうだろう
〜のし 〜ねえ、〜ですね(紀南で多い) 「ええ天気やのし」
〜よし 〜してね、〜しなさいよ(柔らかい指示) 「はよ食べよし」
〜け 〜か?(疑問) 「行くんけ」=行くの?
〜しかええ 〜したほうがいい 「早よ寝るしかええ」
〜ちゃある/〜ちゃーる 〜してある、〜している 「もう書いちゃーる」
〜やん 〜ない(否定) 「できやん」「来やん」
〜ん/〜へん 〜ない(否定) 「知らん」「行かへん」
〜いしょ/〜やいしょ 〜でしょう(有田・日高方面に多い確認表現) 「そうやいしょ」
〜のう/〜のお 〜ねえ(年配の方に多い) 「暑いのう」
〜ど 〜ぞ(強調) 「行くど」

「〜やしてよ」は和歌山市周辺の代表的な語尾です。大阪大学の社会言語学研究ノートでは、和歌山市方言の「〜ヤシテ」は標準語の「〜ではないか」に相当する文末表現として分析されています。同じ系統の研究では、和歌山市で「ン」「ヤン」「ヘン」「ナイ」の4種類の否定表現が使い分けられていることも報告されています。

否定の「〜やん」は、関西の他地域なら「〜へん」と言う場面でも使われます。「できやん」「食べれやん」と聞こえたら、それは和歌山の人です。

和歌山の方言一覧【人の呼び方・あいさつ・あいづち】

会話の入り口になる言葉を集めました。「あがら」「つれもて」「いこら」の3語は、和歌山の人が最も和歌山らしいと感じる言葉です。旅先で一度は耳にするはずです。

地元の言葉が飛び交う黒潮市場の店先
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)
方言 意味 補足
あがら 私たち 「あがらの町」のように仲間意識を込めて使う
わえ/わい 私(主に男性) 年配の男性に多い
わら/われ あなた、お前 親しい間柄限定。旅行者は使わないほうが無難
おいやん おじさん 親しみを込めた呼び方
おばやん おばさん 同上
つれもて 一緒に、連れ立って 「つれもていこら」=一緒に行こう
いこら 行こう 誘うときの定番
そうやしてよ/せやしてよ そうじゃないか 同意を求めるあいづち
ほいで/ほんで それで 話をつなぐ言葉
ほんま 本当 「ほんまけ」=本当?
あかん だめ 関西全域で通じる
かまん かまわない、いいよ 「かまんかまん」と重ねて使う
どんならん どうにもならない、手に負えない あきれたときに使う
しゃあない 仕方ない 関西全域で通じる
おおきに ありがとう 年配の方や商店で聞ける

一人称の「あがら」は、本来「私たち」という複数を指す言葉です。知事メッセージの「残していこらよ」のように、「〜ら」で締める誘いの形と組み合わせると、一気に和歌山らしい文になります。「あがら」の由来や「わがら」との違いは、あがらの意味の記事で詳しく解説しています。

注意したいのは二人称の「わら」「われ」です。和歌山では親しい相手に普通に使いますが、県外の人が聞くと乱暴に感じます。旅行者が使うと誤解を招きやすいので、聞いて分かるだけで十分です。

和歌山の方言一覧【動詞・形容詞】

動詞と形容詞は、標準語に同じ音の別の言葉がある「落とし穴」が多い分野です。「いぬ」「かく」「みてる」「なおす」の4語は、意味を取り違えると会話がかみ合いません。

動詞 意味 使い方の例
いぬ/いんでくる 帰る/帰ってくる 「もういぬわ」=もう帰るね
ほかす 捨てる 「それほかしといて」
いらう 触る 「いらわんといて」=触らないで
かく 持ち上げて運ぶ 「机かいて」=机を運んで
もじける 壊れる、崩れる 「おもちゃがもじけた」
みてる 無くなる、尽きる 「醤油みてた」=醤油が切れた
まわりする 支度する、準備する 「はよまわりしよし」
てんごする いたずらする 「てんごしたらあかん」
ちょける ふざける 「ちょけんとき」
ほたえる 騒ぐ、暴れる 子どもに向けてよく使う
なおす 片付ける、しまう 「これなおしといて」
いごく 動く 「いごかんといて」
行てくる(いてくる) 行ってくる 「ちょっと行てくるわ」

「いぬ」は「犬」ではなく「帰る」です。お店で「ほないぬわ」と言われたら「それじゃ帰るね」という意味で、店員さんが犬の話を始めたわけではありません。「机をかく」も、机に落書きをするのではなく、机を持ち上げて運ぶことです。

形容詞・副詞 意味 使い方の例
かえらしい かわいらしい 「かえらしい子やのし」
こそばい くすぐったい 「こそばいって」
ひやこい 冷たい 「海の水ひやこい」
ぬくい 暖かい 「今日はぬくいのう」
こんまい 小さい 「こんまい魚」
かいだるい だるい、気乗りしない 「体がかいだるい」
やにこい ものすごく(紀南)/もろい・弱い(紀北) 「やにこいきれいな海」(紀南の用法)
おとろしい 恐ろしい、わずらわしい 「おとろしいこっちゃ」
むつこい 脂っこい、味が濃い 「この肉むつこい」
せんど たくさん、何度も 「せんど言うたやろ」
ようけ たくさん 「みかんようけもろた」
けったいな 変な 「けったいな天気」
いらち せっかちな人 「あの人いらちやから」

特に面白いのが「やにこい」です。紀南では「ものすごく」という強調の意味で使いますが、紀北では「もろい」「弱い」というまったく違う意味になります。白浜や串本で「やにこいうまい」と聞いたら、それは最大級のほめ言葉です。

和歌山の方言一覧【名詞・暮らしの言葉とザダラ変換の例】

最後は物の名前と、冒頭で触れたザダラ変換の具体例です。「にんにこ」「じてこ」はかわいい和歌山弁として県外でも知られるようになった言葉です。

和歌山らしい風景の有田みかんの段々畑
写真: Yaruze / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)
方言 意味 補足
にんにこ おにぎり 幼児語に近く、家庭で使われる
じてこ 自転車 学生の間でも現役
さかっちょ 逆さま 「服さかっちょやで」
ねき そば、すぐ近く 「駅のねき」=駅のすぐそば
ざいご 田舎 自分の地元を謙遜して言うことも
かど 家の前、玄関先 「かどで遊んどき」
ぐいち 食い違い、互い違い 「ボタンがぐいちになっとる」
ちょっきり ちょうど、ぴったり 「ちょっきり千円」
まめ 元気 「まめでやってるか」
しょうもない つまらない 関西全域で通じる

ザダラ変換は、以下のような形で現れます。よく例に挙がる言葉を並べました。

標準語 和歌山弁の発音 変換の方向
ぜんぜん でんでん ザ行→ダ行
全日本 でんにっぽん ザ行→ダ行
座布団 だぶとん ザ行→ダ行
雑巾 どうきん ザ行→ダ行
電話 ぜんわ ダ行→ザ行
大工 ざいく ダ行→ザ行

ポイントは、ザ行がダ行になるだけでなく、ダ行がザ行になる逆方向の変換も起きることです。つまり「区別がない」のであって、「ダ行に寄る」わけではありません。学校の国語の時間に「ぜんぜん」と「でんでん」を書き分ける練習をした、という思い出話は地元の飲み会の鉄板ネタです。

こうした地域の発音や文法の違いは、国立国語研究所の「方言文法全国地図」(全6集・PDF版が無料公開)で、全国の調査地点ごとに確認できます。和歌山の言葉がどこまで広がり、どこで変わるのかを地図で追えるので、方言好きの方には格好の資料です。

紀北・紀中・紀南で違う和歌山の方言

和歌山弁は一枚岩ではありません。和歌山市と新宮市は直線でも100km以上離れており、語尾も強調表現も別物です。旅行先がどのエリアかで、耳にする言葉は変わります。

紀南・串本町の橋杭岩
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)
地域 主な市町 よく聞く語尾・言葉 印象
紀北 和歌山市・海南市・岩出市・紀の川市・橋本市・かつらぎ町など 「〜やしてよ」「〜よし」「〜ら」「〜やん」 大阪弁に近く聞こえるが、ザダラ変換が目立つ
紀中 有田市・有田川町・湯浅町・御坊市・日高郡など 「〜いしょ」「〜やいしょ」「〜ら」 念押しの「いしょ」が特徴。みかん農家の会話で頻出
紀南 田辺市・白浜町・みなべ町・すさみ町・串本町・那智勝浦町・新宮市など 「〜のし」「やにこい」「〜ら」「〜のう」 敬語がさらに少なく、誰にでもフラットに話す

紀北の言葉は大阪との行き来が多いため、関西弁として違和感なく聞こえます。一方、紀南は海と山に囲まれて独自の言葉が残り、「〜のし」の柔らかい響きが旅行者に人気です。白浜温泉や熊野古道で「よう来たのし」と言われたら、それは心からの歓迎です。

紀中の「〜いしょ」は、大阪大学の研究ノートでも有田地方の確認要求表現として「〜イショ」、湯浅町の「ヤイショ」「ヤショ」といった形が記録されています。有田みかんの直売所で「甘いやいしょ」と勧められる場面は、紀中ならではの風景です。

和歌山の方言を旅先で聞く・使うコツ

方言一覧を覚えても、使う場面を間違えると浮いてしまいます。旅行者が使って喜ばれるのは「いこら」「おおきに」「かえらしい」の3語です。逆に「われ」「わら」は避けましょう。

紀南の代表的な観光地・白良浜
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)

和歌山弁がよく聞ける場所は、観光地の中心より少し外れた日常の場です。朝の魚市場、地元のスーパー、路線バスの車内、温泉の脱衣所などで、年配の方同士の会話に耳を傾けてみてください。「〜やしてよ」「〜のし」のリズムが自然に入ってきます。

使う側に回るときは、まず語尾だけ真似るのがコツです。「おいしい」を「おいしいのし」、「行きましょう」を「いこら」に変えるだけで、相手の表情が変わります。無理に全文を方言にする必要はなく、ひとことだけ混ぜるのが一番自然です。

項目 内容
名称 和歌山弁(紀州弁)
分類 近畿方言の一つ
話されている地域 和歌山県全域(旧紀伊国)。紀北・紀中・紀南で語尾やなまりが異なる
代表的な特徴 ザ行とダ行の入れ替わり(ザダラ変換)、敬語表現の少なさ、「〜やしてよ」「〜ら」「〜のし」などの語尾
代表的な言葉 あがら(私たち)、つれもて(一緒に)、いこら(行こう)、にんにこ(おにぎり)、じてこ(自転車)
旅行者が使いやすい言葉 いこら、おおきに、かえらしい、〜のし
避けたほうがよい言葉 われ、わら(親しい間柄限定の二人称)
参考資料 和歌山県知事メッセージ(2024年6月3日)/国立国語研究所 方言文法全国地図

あわせて読みたい和歌山の言葉・あるある記事

和歌山の方言一覧で基礎が分かったら、次は実際に試したり、周辺の話題に広げたりしてみましょう。

よくある質問

和歌山の方言で一番よく聞く言葉は何ですか?

語尾の「〜やしてよ」と、誘うときの「〜ら」(いこら=行こう)、一人称の「あがら」(私たち)の3つです。和歌山市周辺では「〜やしてよ」、紀南では「〜のし」が特によく聞かれます。

和歌山弁と大阪弁の違いは何ですか?

大きな違いは3点です。語尾(「〜やしてよ」「〜ら」「〜のし」は大阪では使わない)、敬語表現の少なさ、そしてザ行とダ行が入れ替わる発音です。単語レベルでは「あかん」「ほんま」など共通する言葉も多くあります。

和歌山弁はきつい・怖いと言われるのはなぜですか?

敬語表現が少なく、誰にでも同じ調子で話すため、県外の人にはぶっきらぼうに聞こえることがあります。和歌山県知事のメッセージでも、紀州方言に敬語が少ない背景として、上下関係の少ない平等な気風を挙げる説が紹介されています。怒っているわけではなく、距離が近い話し方だと受け取ってください。

「ざじずぜぞ」と「だぢづでど」が入れ替わるのは本当ですか?

本当です。「ぜんぜん」が「でんでん」、「電話」が「ぜんわ」のように、ザ行とダ行の両方向で入れ替わります。和歌山大学の留学生エッセイにも和歌山弁の特徴として登場します。ただし年配の方に多く、若い世代は標準的な発音に近づいています。

旅行者が和歌山弁を使っても失礼になりませんか?

「いこら」「おおきに」「かえらしい」「〜のし」のような柔らかい言葉なら、むしろ喜ばれます。避けたいのは二人称の「われ」「わら」で、親しい間柄限定の言葉なので、旅行者が使うと乱暴に受け取られることがあります。

まとめ|和歌山の方言一覧を持って、つれもていこら

まとめ

  • 和歌山弁の3つの特徴は、ザ行とダ行の入れ替わり、敬語表現の少なさ、紀北・紀中・紀南の地域差です。
  • 語尾の「〜やしてよ」「〜ら」「〜のし」「〜やん」を押さえれば、会話の大半は追えます。
  • 「いぬ(帰る)」「かく(運ぶ)」「みてる(無くなる)」「なおす(片付ける)」は意味の取り違えに注意が必要です。
  • 「やにこい」は紀南では「ものすごく」、紀北では「もろい」と意味が変わります。
  • 旅行者が使うなら「いこら」「おおきに」「かえらしい」。「われ」「わら」は避けましょう。

和歌山の方言は、県知事が公式メッセージで「後世に残していこらよ」と呼びかけるほど、地元の人にとって誇りのある言葉です。この一覧を手元に、黒潮市場や白浜温泉、熊野古道の道中で聞こえてくる言葉に耳を澄ませてみてください。次は和歌山弁クイズで、どれだけ覚えられたか試してみましょう。


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和歌山タイムズ編集部(株式会社Tip)
自治体などの公式情報を確認したうえで、編集部が制作しています。分別方法や収集日などは変更される場合があるため、最新情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。運営者情報
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