和歌山に来て、看板やお酒のラベルで「つれもていこら」という言葉を見かけて、意味が気になった方は多いのではないでしょうか。
和歌山の友人に「つれもていこらよ」と言われて、何と返せばいいのか一瞬固まってしまった。そんな経験がある方もいるはずです。
実はこの言葉、「つれもて」と「いこら」という2つの和歌山弁が合体した、県内でもっとも有名なひと言です。日本酒の銘柄やハイキング大会の名前にも使われるほど、和歌山県民に愛されています。
この記事では、つれもていこらの意味と由来、和歌山弁の要である語尾「ら」の仕組み、そのまま使える例文、そして街のどこでこの言葉に出会えるかまでを、和歌山歴35年の監修者の視点でまとめました。
読み終えるころには、「つれもていこら」と言われたときの返し方まで身についているはずです。
つれもていこらの意味|「みんなで一緒に行こう」を表す和歌山弁

結論から言うと、「つれもていこら」は「みんなで一緒に行こう」「連れだって行こうよ」という意味の和歌山弁です。誰かを誘うときの、いちばん和歌山らしい言い回しです。
言葉は2つのパーツに分かれます。
| パーツ | 意味 | 共通語にすると |
|---|---|---|
| つれもて | 一緒に・連れだって | 一緒に |
| いこら | 行こう(勧誘) | 行きましょう |
| つれもていこら | 一緒に行こう | みんなで一緒に行きましょう |
日本退職者連合が2015年に和歌山城で開いたハイキング大会は「つれもていこら 徳川御三家 紀州和歌山城ハイキング」と名付けられ、近畿6府県から約1,420名が参加しました(出典: 日本退職者連合)。主催者はこの言葉を「みんなで一緒に行こう」という意味の和歌山弁と紹介しています。
つまり「行く」相手が1人でも大勢でも使えるのがポイントです。友人1人を誘うときも、職場のみんなを誘うときも、同じ「つれもていこら」で通じます。
つれもての意味と由来|「連れ」+「もて(〜しながら)」でできた言葉

「つれもて」は、「連れ(つれ)」と「もて」という2つの要素からできた言葉です。ここを分解すると、由来がすっきり見えてきます。
まず「つれ」です。和歌山県が昭和59年度と平成22年度に実施した方言調査をもとに公開している和歌山県文化情報アーカイブ「和歌山の方言」では、「ツレ」は「仲間」の意味として掲載されています。共通語の「連れ」よりも広く、友達や気の合う仲間を指す言葉として日常的に使われます。
次に「もて」です。紀州弁の解説では、「もて」は「〜しながら」を表す要素とされ、「つれもて」で「一緒に」という意味になります。「つれもて飲もら」なら「一緒に飲もう」です(参考: 紀州弁 – Wikipedia)。
つまり「つれもて」を直訳すると「仲間と連れだちながら」。そこから「一緒に」という副詞として定着したと考えると、言葉の温かさがよく分かります。
「つれもて」は「いこら」以外の動詞とも組み合わせられます。
- つれもて食べよら(一緒に食べよう)
- つれもて帰ろら(一緒に帰ろう)
- つれもてしよら(一緒にやろう)
- つれもて遊ぼら(一緒に遊ぼう)
「つれもて+動詞の勧誘形」が基本形で、「いこら」と組んだ形がもっとも有名になり、ほぼ定型句として独り立ちしたのが「つれもていこら」です。
いこらと語尾「ら」の意味|和歌山弁の勧誘表現の仕組み

「いこら」は「行こう」に和歌山弁の勧誘の語尾「ら」がついた形です。この「ら」こそが、和歌山弁をいちばん和歌山弁らしく聞こえさせる語尾です。
紀州田辺うめ振興協議会の方言紹介ページでは、「勧誘の『ら』」として「いこら=いきましょう」「寝よら=寝ましょう」が挙げられています(出典: 紀州田辺うめ振興協議会)。また和歌山県文化情報アーカイブには「いっそ テッペンまで いこら(いっそのこと山頂まで行こうよ)」という会話例が収録されています(出典: 和歌山県文化情報アーカイブ 方言50音順)。
作り方は簡単で、共通語の「〜しよう」「〜よう」の最後を「ら」に置き換えるだけです。
| 共通語 | 和歌山弁 | ひとこと |
|---|---|---|
| 行こう | いこら | いちばん頻出 |
| しよう | しよら | 「つれもてしよら」も定番 |
| 飲もう | 飲もら | 飲み会の誘い文句 |
| 食べよう | 食べよら | ランチの誘いに |
| 寝よう | 寝よら | 家族の会話で |
| 帰ろう | 帰ろら | 帰り際の一言 |
語尾「ら」には、もうひとつ「推量(〜だろう)」の使い方もあります。紀州弁の終助詞「ら」は勧誘と推量の両方を表すとされ、「明日は雨降るら(明日は雨が降るだろう)」のように使われます。文脈で「誘い」なのか「予想」なのかを聞き分けるのが、和歌山弁に慣れる第一歩です。
さらに「ら」の後ろに「よ」をつけて「いこらよ」「いこらよー」と伸ばすと、より親しみのこもった誘い方になります。和歌山県文化情報アーカイブの会話例にも「いこららよー」という伸ばした形が収録されており、口語ではこの伸ばし方が自然です。
つれもていこらの使い方と例文|返事の仕方も紹介

実際の会話では、「行き先」+「つれもていこら」の形で使うのが基本です。旅行者がそのまま使える例文を場面別にまとめました。
| 場面 | 和歌山弁 | 共通語訳 |
|---|---|---|
| 海へ誘う | 白良浜、つれもていこら | 白良浜に一緒に行こうよ |
| 食事に誘う | 昼ごはん、つれもて食べよら | お昼ごはんを一緒に食べよう |
| 祭りに誘う | 今晩の花火、つれもていこらよ | 今夜の花火に一緒に行こうよ |
| 飲み会 | 今日はつれもて飲もら | 今日は一緒に飲もう |
| 帰り道 | もう暗いし、つれもて帰ろら | もう暗いから一緒に帰ろう |
誘われたときの返事は難しく考える必要はありません。「うん、いこら」と語尾を真似して返すだけで、和歌山の人はとても喜んでくれます。丁寧に言いたいときは「ほな、いこか」でも十分通じます。
都合が悪いときは「今日はよう行かんわ(今日は行けないよ)」と返すのが自然です。「よう〜せん」は「〜できない」を表す関西一円の言い回しで、和歌山でもよく使われます。
旅行者が使うときのコツは3つです。
- 語尾を上げすぎない。疑問ではなく誘いなので、軽く言い切る
- 「よ」を足して柔らかく。「いこらよ」にすると押しつけがましくならない
- 目上の人には共通語で。和歌山弁は敬語表現が少ないと言われるため、初対面や年配の方には無理に使わないのが無難
つれもていこらはどこで見かける?|日本酒・イベント名・お土産

「つれもていこら」は会話の中だけでなく、和歌山を象徴するキャッチフレーズとして商品名やイベント名に広く使われています。旅行中に目にする代表例を紹介します。
日本酒「つれもていこら」(田端酒造)
和歌山市の酒蔵・田端酒造は「つれもていこら」という銘柄の日本酒を製造・販売しています。公式オンラインショップでは、和歌山の方言から「みんなで飲もう」という意味を込めて名付けた、飲む人を選ばない軽い口当たりのお酒と紹介されています(参考: 田端酒造 公式オンラインショップ)。お土産として渡すと、言葉の意味も一緒に伝えられるので会話が弾みます。価格やサイズ展開は公式サイトで最新をご確認ください。
ハイキング大会や交流イベントの名前
前述のとおり、2015年には「つれもていこら 徳川御三家 紀州和歌山城ハイキング」という大規模なイベントが和歌山城で開かれました。参加者を「みんなで一緒に行こう」と呼びかけるのにぴったりの言葉で、県内の地域行事や団体の会報名などにもたびたび使われています。2026年の開催予定は各主催者の公式発表をご確認ください。
観光PRや店の看板
県内の観光施設や飲食店の看板、ポスターにも「つれもていこら」の文字を見かけます。和歌山県の公式観光キャッチフレーズは「聖地リゾート!和歌山」ですが(出典: 和歌山県公式観光サイト)、県民が「和歌山らしさ」を一言で表すときには、今でも「つれもていこら」がいちばん先に出てきます。
大阪弁との違いと地域差|紀北・紀中・紀南で変わる言い方

「つれもていこら」は隣の大阪では通じにくい、和歌山ならではの表現です。同じ関西弁の仲間でも、誘い方の語尾がはっきり違います。
| 地域 | 「一緒に行こう」の言い方 |
|---|---|
| 和歌山 | つれもていこら |
| 大阪 | 一緒にいこか/いこや |
| 共通語 | 一緒に行こう |
和歌山と大阪の間には和泉山脈があり、古くから人の行き来が限られていたことが、和歌山弁が独自の色を保っている理由のひとつとしてよく語られます。
県内でも地域差があります。紀州弁は紀北(和歌山市・紀の川市・橋本市など)、紀中(有田・御坊など)、紀南(田辺・白浜・新宮など)でアクセントや語彙が異なり、紀中や田辺周辺では古い京阪式アクセントが残る一方、紀南東部や三重県側では垂井式アクセントが見られるとされています。三重県牟婁地区では「ら」のほかに、目上に「らい」、同等以下に「られ」を使い分ける待遇表現もあります(参考: 紀州弁 – Wikipedia)。
ただし「つれもて」「いこら」自体は県内全域で通じるので、旅行者はエリアを気にせず使って問題ありません。
もうひとつ、和歌山弁の有名な特徴が「ザ行がダ行に、ダ行がラ行に変わりやすい」ことです。「全然」が「でんでん」、「座布団」が「だぶとん」になる例が知られています。「つれもていこら」の後に「でんでん遠ないで(全然遠くないよ)」と続いても、驚かずに聞いてください。
つれもていこらと一緒に覚えたい和歌山弁
「つれもていこら」を覚えたら、会話でセットになりやすい和歌山弁もいくつか押さえておくと、旅先でのやり取りがぐっと楽になります。
| 和歌山弁 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| あがら | 私たち | あがらもつれもていこら(私たちも一緒に行こう) |
| ツレ | 仲間・友達 | ツレと白浜行ってきた |
| 〜よ | 〜だよ | うまいよー(おいしいよ) |
| 〜ら | 〜しよう/〜だろう | 食べよら/降るら |
| テッペン | 山頂 | テッペンまでいこら |
「あがら」は和歌山弁の一人称で、「つれもて」と並ぶ代表的な言葉です。詳しくはあがらの意味の記事で解説しています。
つれもていこらの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表記 | つれもていこら(連れもて行こら) |
| 意味 | みんなで一緒に行こう/連れだって行こうよ |
| 構成 | つれもて(一緒に)+いこら(行こう) |
| 「つれもて」の成り立ち | ツレ(仲間・連れ)+もて(〜しながら) |
| 「いこら」の成り立ち | 行こう+勧誘の語尾「ら」 |
| 使われる地域 | 和歌山県全域(紀北・紀中・紀南) |
| 類似表現 | つれもてしよら、つれもて飲もら、いこらよ |
| 共通語での返事 | 「うん、いこら」「ほな、いこか」 |
| 参考 | 和歌山県文化情報アーカイブ「和歌山の方言」(昭和59年度・平成22年度調査) |
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よくある質問
つれもていこらは和歌山のどの地域で使われますか?
和歌山県全域で通じます。紀北・紀中・紀南でアクセントや細かい語尾に違いはありますが、「つれもて(一緒に)」「いこら(行こう)」はいずれの地域でも使われる基本的な和歌山弁です。
「いこら」の「ら」は「行こうか」の疑問ですか?
疑問ではなく勧誘です。「行こう」「行きましょう」という誘いの意味で、返事は「うん、いこら」のように肯定で返すのが自然です。文脈によっては「〜だろう」という推量の意味になることもあります。
つれもていこらを旅行者が使っても失礼になりませんか?
友人や同年代の相手なら喜ばれることがほとんどです。ただし和歌山弁は敬語表現が少ないとされるため、初対面の年配の方やお店の方には共通語で話し、相手が方言で返してきたら合わせる程度が無難です。
つれもていこらという日本酒は本当にあるのですか?
あります。和歌山市の田端酒造が「つれもていこら」という銘柄を製造しており、公式オンラインショップで販売されています。「みんなで飲もう」という意味を込めて名付けられたと紹介されています。価格や在庫は公式サイトで最新をご確認ください。
「つれもて」と「つれもって」はどちらが正しいですか?
一般的な表記は「つれもて」です。口語では「つれもって」に近く聞こえることもありますが、日本酒の銘柄名やイベント名など公的に使われる表記は「つれもて」で統一されています。
まとめ|つれもていこらの意味を覚えて和歌山を楽しもう
- 「つれもていこら」は「みんなで一緒に行こう」という意味の和歌山弁
- 「つれもて」はツレ(仲間)+もて(〜しながら)、「いこら」は行こう+勧誘の語尾「ら」
- 語尾「ら」は「〜しよう」の勧誘が基本で、「〜だろう」の推量にも使う
- 返事は「うん、いこら」でOK。目上の人には共通語が無難
- 日本酒の銘柄やハイキング大会の名前にも使われる、和歌山を象徴する言葉
「つれもていこら」と言われたら、それは和歌山の人からの本気のお誘いです。次は和歌山弁一覧で語彙を増やして、和歌山の街へつれもていこら。




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