和歌山の白浜へ行くと決めたとき、多くの人がまず宿とアドベンチャーワールドを調べます。温泉は「宿に入っていればいい」くらいの扱いになりがちです。
でも実際に行った人ほど、帰り道でこう言います。「もっと湯そのものを調べておけばよかった」と。白浜温泉は有馬・道後と並ぶ日本三古湯のひとつで、『日本書紀』に西暦657年の記述が残る、1300年以上前から人が浸かり続けている湯だからです。しかも源泉は一つではなく、南紀白浜観光協会によれば町内に15ヶ所の源泉があり、温泉施設は23ヶ所。歩いて回れる距離の中で、泉質のまったく違う湯に入り分けられるのが白浜の本当の面白さです。
この記事では、和歌山・白浜温泉の歴史と泉質の違い、公営の外湯4か所の中身、湯めぐりの作法と持ち物、温泉街の歩き方までを地元目線でまとめます。読み終わるころには、「どの湯に、どの順番で入るか」が決まっているはずです。

白浜温泉とは|『日本書紀』に残る日本三古湯の温泉地
白浜温泉は、和歌山県西牟婁郡白浜町に湧く温泉地で、有馬温泉・道後温泉とともに「日本三古湯」と呼ばれます。単に古いだけでなく、記録がはっきり残っているのがこの温泉地の強みです。
南紀白浜観光協会の解説によれば、西暦657年に有間皇子が白浜を訪れたことが『日本書紀』に記され、翌年には斉明天皇、のちに持統天皇・文武天皇の行幸が載っています。都から遠く離れた紀伊半島の南端まで、天皇が繰り返し湯治に来ていたということです。
この一帯は古代に「牟婁(むろ)」と呼ばれた地域で、その名は現在も温泉街の公衆浴場「牟婁の湯」に、天皇の行幸は「行幸源泉(みゆきげんせん)」という源泉名にそのまま残っています。1300年以上前の固有名詞が、今も現役の湯の名前として使われている——これは全国の温泉地でもかなり珍しいことです。
白浜温泉の泉質|15の源泉が生む塩化物泉・硫黄泉の違い
白浜温泉を「ひとつの泉質」で語ることはできません。南紀白浜観光協会は町内に15ヶ所の源泉、23ヶ所の温泉施設があると紹介しており、代表的な泉質として塩化物泉・硫黄泉・炭酸水素塩泉・単純温泉を挙げています。実際には「含硫黄ナトリウム塩化物泉」「ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉」のような複合泉質も多く、施設ごとに湯の顔がまるで違います。
旅行者が体感でわかる違いは、ざっくり次の3つです。
| タイプ | 体感の特徴 | 白浜での代表例 |
|---|---|---|
| ナトリウム塩化物泉 | 塩気があり、湯上がりに体の熱が抜けにくい。いわゆる「あたたまる湯」 | 崎の湯/白良湯(生絹湯) |
| 含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉 | 硫黄のにおいと濁りがあり、白浜のなかでは最も個性が強い | 牟婁の湯(砿湯)/露天風呂しらすな |
| 炭酸水素塩泉を含む湯 | 肌あたりがやわらかく、さっぱりした後味 | 温泉街の宿・施設により異なる |
源泉温度も高めです。白浜町の公式情報では、崎の湯と牟婁の湯の行幸源泉が78.0度、牟婁の湯の砿湯が74.0度、白良湯の生絹湯が66.8度。いずれも触れれば火傷する温度の湯が地中から出ていて、それを浴槽で使える温度に整えて供給しています。

白浜温泉の外湯めぐり|公営4湯の泉質と料金・営業時間
白浜温泉の外湯めぐりの中心は、白浜町が運営する4か所の公衆浴場です。宿泊者でなくても入れて、料金も手頃。しかも4か所すべて泉質や立地が違うので、これだけで湯めぐりが成立します。以下は白浜町公式サイトで確認できた内容です(2026年9月時点)。
| 施設 | 料金 | 営業時間 | 定休日 | 泉質・源泉 |
|---|---|---|---|---|
| 崎の湯 | 3歳以上500円(タオル200円・コインロッカー100円) | 10/1〜3/31は8:00〜17:00/4/1〜6/30・9/1〜9/30は8:00〜18:00/7/1〜8/31は7:00〜19:00(最終入場は終業30分前) | 無休(臨時休業あり) | ナトリウム塩化物泉/78.0度 |
| 牟婁の湯 | 大人420円・中人140円・小人80円 | 9:00〜11:00(最終入場10:30)、14:00〜21:30(最終入場21:00)※7:00〜9:00は白浜町民のみ | 火曜 | 砿湯=含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉/74.0度・毎分190L、行幸源泉=ナトリウム塩化物泉/78.0度 |
| 白良湯 | 大人420円・中人140円・小人80円 | 9:00〜11:00(最終入場10:30)、14:00〜21:30(最終入場21:00)※7:00〜9:00は白浜町民のみ | 木曜 | 生絹湯(すずしゆ)=ナトリウム塩化物泉/66.8度 |
| 露天風呂 しらすな | 無料(令和8年度) | 5/1〜6/30・9/1〜9/13は土日祝のみ10:00〜15:00/7/1〜8/31は無休12:00〜17:30(最終入場は30分前) | 上記期間外は営業なし | 含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉 |
- 2026年9月13日(日)は町営公衆浴場が臨時休業します。休業時間は崎の湯が12:30〜18:00、白良湯・牟婁の湯が11:00〜21:30。花火イベントが中止の場合も同じく休業で、各施設9月14日から通常営業の予定です(公式のお知らせ)。
- 2026年9月25日(金)12:30〜18:00は崎の湯がメンテナンス休業します。メンテナンス日は休業の30分前が最終入場時刻です。なお崎の湯の海側浴場は営業を再開しています(公式のお知らせ)。
いずれも上記日程限りの臨時対応です。通常の営業時間は表のとおりですが、おでかけ前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
それぞれの性格を短くまとめると、こうなります。
崎の湯|波打ち際の露天風呂(白浜温泉の象徴)
白浜町公式サイトの崎の湯のページによれば、所在地は白浜町1668番地、電話は0739-42-3016。太平洋の岩場にそのまま浴槽があり、荒れた日は湯船の縁まで波しぶきが来ます。湯が海に流れるため、シャンプー・リンス・石鹸類はいっさい使えません。ここは「洗う場所」ではなく「浸かる場所」だと割り切って入ってください。
牟婁の湯|1回で2つの源泉に入り分けられる浴場
所在地は白浜町1665番地、電話は0739-43-0686。白浜町公式サイトでは、性格の異なる2つの源泉を1度に味わえる浴場として紹介されています。硫黄の効いた砿湯と、すっきりした行幸源泉を交互に浴びると、白浜の泉質の幅がいちばんよくわかります。泉質の違いを体で理解したいなら、まずここです。
白良湯|白良浜を見下ろす2階の浴場
所在地は白浜町3313番地の1、電話は0739-43-2614。浴場は2階にあり、窓から白い砂浜と海を見渡せます。白砂の白良浜を湯船から眺められるのはここだけ。夕方の時間帯がとくにきれいです。
露天風呂しらすな|水着で入る海辺の湯(夏季中心)
白良浜海水浴場内(白浜町864番地、電話0739-43-1126)にある、水着着用の混浴露天風呂です。プールほどの広さがあり、海で泳いだ体をそのまま温められます。営業は初夏〜初秋の限定なので、日程が合えば必ず寄ってほしい一湯です。
なお、白良湯と牟婁の湯には年間パスポートの制度があります。詳細は白浜町の公衆浴場ページでご確認ください。宿の日帰り入浴も含めた施設一覧は白浜温泉の日帰り入浴にまとめています。

白浜温泉の湯めぐりの作法|持ち物と回る順番のコツ
白浜の外湯は、都市部のスーパー銭湯とは前提が違います。「アメニティは基本的に無い」「洗えない湯がある」——この2点さえ押さえておけば失敗しません。
- タオルは自分で持つ:崎の湯では有料(200円)で購入できますが、宿のタオルを1枚持って出るのが確実です。
- 石鹸・シャンプーが使えない湯がある:崎の湯・しらすなは使用不可。洗髪したい日は、牟婁の湯・白良湯か宿の風呂を「締め」に置きます。
- 小銭を用意する:公衆浴場の料金は数百円単位。ロッカーも100円が必要な場合があります。
- 水着を1枚:夏にしらすなへ行くなら必須です。着替える場所も限られるため、下に着ていくのが早いです。
- 昼の休止時間に注意:白良湯・牟婁の湯は11:00〜14:00が営業時間外です。チェックアウト後の11時台に「開いていない」となりがちなので、午前に入るなら9:00〜11:00を狙ってください。
回る順番の考え方はシンプルです。洗えない湯 → 洗える湯 → 宿の湯の順に並べる。たとえば午前に崎の湯で海を見ながら温まり、夕方に白良湯で夕暮れの白良浜を眺め、夜は宿の風呂でゆっくり洗う、という流れが最も無理がありません。連続で長湯をせず、湯と湯の間に食事や休憩を挟むのが地元の入り方です。
温泉街の歩き方|湯崎エリアと白良浜エリアの位置関係
白浜温泉の温泉街は、大きく「湯崎エリア」と「白良浜エリア」に分かれます。崎の湯と牟婁の湯は岬側の湯崎、白良湯としらすなは白い砂浜の白良浜側。両エリアは徒歩でも移動できる範囲にあり、外湯めぐりを1日で組み立てやすいのが白浜の利点です。
足湯も温泉街の各所にあります。外湯・足湯を合わせた最新の一覧は、白浜温泉旅館協同組合の公式サイトや和歌山県公式観光サイトで確認できます。
アクセスは、JR白浜駅から温泉街まで路線バスまたは車で向かうのが基本です。駅と温泉街は離れていますので、所要時間や便数は明光バスの公式サイトで最新のダイヤをご確認ください。温泉街の中は徒歩とバスで十分に回れます。

白浜温泉の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 温泉地名 | 白浜温泉(南紀白浜温泉) |
| 所在地 | 和歌山県西牟婁郡白浜町 |
| 泉質 | ナトリウム塩化物泉、含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉、炭酸水素塩泉、単純温泉ほか(施設により異なる) |
| 源泉数 | 15ヶ所(南紀白浜観光協会公表) |
| 温泉施設数 | 23ヶ所(南紀白浜観光協会公表) |
| 公営外湯 | 崎の湯・牟婁の湯・白良湯・露天風呂しらすな |
| 外湯の料金 | 500円(崎の湯・3歳以上)/420円(牟婁の湯・白良湯の大人)/無料(しらすな・令和8年度) |
| 定休日 | 崎の湯=無休、牟婁の湯=火曜、白良湯=木曜、しらすな=営業期間外は休止 |
| 駐車場 | 施設ごとに条件が異なるため要確認 |
| アクセス | JR白浜駅から路線バスまたは車。所要時間は公式サイトで最新をご確認ください |
| 公式サイト | 南紀白浜観光協会/白浜町 公衆浴場 |
料金・営業時間は変更されることがあります。おでかけ前に必ず各公式サイトで最新をご確認ください。
周辺のおすすめ
- 白浜温泉の日帰り入浴:外湯とホテル日帰りプランの料金・営業時間を施設別に一覧化しています。
- 白浜観光モデルコース:湯めぐりを1日の行程に組み込むならこちら。
- 白浜ランチ:湯と湯の間に挟む食事場所の選び方。
- アドベンチャーワールド:子連れなら午前パーク・午後温泉の組み合わせが定番です。
よくある質問
白浜温泉はなぜ日本三古湯と呼ばれるのですか?
南紀白浜観光協会によれば、西暦657年の有間皇子の来訪が『日本書紀』に記され、翌年に斉明天皇、のちに持統天皇・文武天皇の行幸が記録されているためです。有馬温泉・道後温泉とともに日本三古湯とされています。
白浜温泉の泉質は何ですか?
ひとつではありません。ナトリウム塩化物泉、含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉、炭酸水素塩泉、単純温泉などがあり、南紀白浜観光協会は町内に15ヶ所の源泉があると紹介しています。崎の湯はナトリウム塩化物泉(78.0度)、牟婁の湯の砿湯は含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉(74.0度)と、施設ごとに湯の性格が異なります。
崎の湯はシャンプーを使えますか?
使えません。白浜町公式サイトによると、崎の湯は浴槽の湯が海へ流れるため、シャンプー・リンス・石鹸類は利用できません。洗髪したい場合は、牟婁の湯や白良湯、宿の風呂をご利用ください。
白浜温泉の外湯は宿泊しなくても入れますか?
入れます。崎の湯・牟婁の湯・白良湯・露天風呂しらすなは白浜町が運営する公衆浴場で、宿泊者以外も利用できます。料金は崎の湯が3歳以上500円、牟婁の湯・白良湯が大人420円、しらすなは令和8年度は無料です。
白浜温泉の外湯めぐりは何時間くらい必要ですか?
移動と入浴を合わせて、2か所なら半日、3か所以上なら1日を見ておくと余裕があります。白良湯と牟婁の湯は11:00〜14:00が営業時間外のため、午前と午後に分けて組むのが現実的です。
まとめ
- 和歌山・白浜温泉は有馬・道後と並ぶ日本三古湯で、『日本書紀』に西暦657年の記述が残ります。
- 源泉は15ヶ所。ナトリウム塩化物泉から含硫黄の強塩泉まで、歩ける範囲で泉質を飲み比べるように入り分けられます。
- 公営外湯は崎の湯・牟婁の湯・白良湯・露天風呂しらすなの4か所。料金は無料〜500円です。
- 崎の湯としらすなは石鹸類が使えません。「洗えない湯→洗える湯→宿の湯」の順で回すと失敗しません。
- 白良湯・牟婁の湯は11:00〜14:00が営業時間外。時間割を先に決めてから動きましょう。
次に読むなら、施設別の料金と時間をまとめた白浜温泉の日帰り入浴、県内全域から選びたい方は和歌山の日帰り温泉もどうぞ。




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