和歌山市に来たら一杯は食べたい、と誰もが言うのが「和歌山ラーメン」です。ところが現地で地図を開くと、丸髙・丸三・丸木・丸京と「丸」の付く店が次々と出てきて、どこへ行けばいいのか分からなくなります。しかも店によって味の方向が真逆で、濃厚な豚骨醤油を期待して入った店が澄んだ醤油スープだった、ということも起こります。実は和歌山市のラーメンは「井出系」と「車庫前系」の2系統に分かれていて、この2つを知っているだけで店選びの迷いがほぼ消えます。この記事では、2系統の違い、和歌山県公式観光サイトが紹介する名店のうち和歌山市内の11軒の営業時間と定休日、卓上の早すしとゆで卵の作法、和歌山駅からの回り方を、和歌山で35年暮らす目線でまとめました。最後に、初めての人が一番やりがちな失敗も書いています。
地元民のひとこと:和歌山の人は「ラーメン食べに行こう」とはあまり言いません。「中華行こか」です。それと、県外の友人を案内するときは必ず昼に1杯、夜に1杯と系統を変えて2軒回ります。1杯の麺が少なめなので、これが普通にできるのが和歌山市の良いところです。
和歌山市のラーメンは「中華そば」|井出系と車庫前系の違いを最初に知る
和歌山市のラーメンは、地元では「中華そば」や「中華」と呼ばれ、ひとまとめに豚骨醤油と言われますが、味は店ごとにまったく違います。和歌山市公式サイトの特産物ページでも、この呼び方と「お店ごとに全く異なる」味わいが和歌山ラーメンの特徴として紹介されています。違いを生んでいるのが2つの系統です。

車庫前系は、和歌山県公式観光サイトの特集によると1940年の「丸髙」が起源です。もとは鰹節とジャコを醤油で炊いた出汁で、戦後に豚骨が加わりました。市電の「車庫前」停留所の周辺から広がった屋台の味で、醤油が主張するスッキリとしたスープが持ち味です。見た目は黒っぽいのに、飲むと軽いのが初めての人を驚かせます。
井出系は、氷の卸商だった井出つや子さんが1953年に屋台で売り始めたのが始まりです。豚骨を強火で炊き込むことで、まろやかでコク深い豚骨醤油になります。白く濁ったとろみのあるスープが特徴で、全国的に「和歌山ラーメン」としてイメージされるのはこちらです。
| 比較項目 | 井出系 | 車庫前系 |
|---|---|---|
| 起源 | 1953年・井出商店の屋台 | 1940年・丸髙の屋台 |
| スープ | 豚骨主体の豚骨醤油。白く濁りとろみがある | 醤油が立つ澄んだ豚骨醤油。黒っぽく見えて後味は軽い |
| 向いている人 | 濃厚系が好き、全国で知られる和歌山ラーメンを食べたい | あっさり派、飲んだ後の締めに食べたい |
| 代表店(市内) | 井出商店、山為食堂、丸三、正善、まるイ、丸田屋 | 本家アロチ丸髙、丸木、まるやま、丸宮、丸京 |
共通点もあります。県公式観光サイトの特集では、麺は100〜120gと少なめでスープは多め、卓上には早なれ寿司とゆで卵が置かれ、夜の「締めの一杯」として親しまれてきたと説明されています。細めのストレート麺に、チャーシュー・メンマ・かまぼこというクラシックな具が基本です。
和歌山市のラーメン店おすすめ11選|系統とエリアで選ぶ
ここからは、和歌山県公式観光サイトが2026年3月に公開した特集で紹介された13店のうち、和歌山市内にある11軒を系統別に紹介します。営業時間と定休日はその特集に掲載された数値で、2026年3月時点のものです。ラーメン店は時間変更や臨時休業が多いので、訪問前に各店の最新情報をご確認ください。

井出商店(井出系・JR和歌山駅から徒歩圏)
和歌山市田中町4-84。営業は11時30分〜23時30分、木曜定休。井出系の名の由来になった店で、テレビ番組の企画で日本一に選ばれたことをきっかけに全国へ名が広まりました。まったりとコクのある豚骨醤油が看板で、昼前の開店直後か、15時前後の中休みがない時間帯が入りやすいです。JR和歌山駅から歩いて行けるので、電車で来る人の1軒目に向いています。
山為食堂(井出系・市街中心部)
和歌山市福町12。営業は11時〜17時、日曜・祝日定休。「ドロッと濃厚」と県公式観光サイトが表現する、和歌山市内でもっとも濃い部類のスープです。太めの麺を合わせるのも他店と違う点です。夕方で閉まり日祝が休みなので、平日の昼に行く店と覚えてください。
中華そば専門 丸三(井出系・塩屋)
和歌山市塩屋6-2-88。営業は11時〜20時、日曜定休。豚骨醤油のコク深い王道の味で、地元では「丸三の中華」と言えば通じるほど日常の店です。市街地から南へ車で向かう位置なので、車で回る人のルートに入れやすいです。
中華そば 正善(井出系・直川)
和歌山市直川612-1。営業は11時〜21時、木曜と第3水曜定休。12時間以上炊き込んだまろやかなスープが売りです。市の北部、阪和自動車道の和歌山北インター方面から入る人にとって、市街地より手前で寄れる井出系です。
ラーメン まるイ 中之島店・十二番丁店(井出系)
中之島店は18時〜深夜1時で日曜定休、十二番丁店は11時〜21時で無休と、県公式観光サイトの特集に掲載されています。丼の一面を覆うネギが名物で、「ネギラーメン」で呼ばれることも多い店です。十二番丁店は和歌山城の北側で無休のため、日曜に困ったらここという使い方ができます。
中華そば 丸田屋(井出系・市内店舗あり)
岩出市・和歌山市・白浜町に4店舗を展開し、営業は11時〜15時と17時〜22時、月曜定休と特集に掲載されています。8時間以上煮込んだ豚骨と鶏がらのスープで、店舗により時間や休みが異なります。和歌山市内の店舗の住所と営業時間は公式サイトで最新をご確認ください。

本家アロチ 丸髙中華そば(車庫前系・夜の繁華街)
和歌山市友田町2-50。営業は17時30分〜深夜3時、日曜・月曜定休。車庫前系の起源とされる「丸髙」の名を継ぐ店で、和歌山市の夜の繁華街「アロチ」にあります。スッキリとした中にも深いコクがあり、飲んだ後の締めの一杯という和歌山ラーメン本来の食べ方を体験するならこの店です。昼は開いていないので注意してください。
丸木(マルキ)中華そば(車庫前系・和歌浦)
和歌山市和歌浦南1-1-3。営業は17時〜23時、月曜と第3火曜定休。スッキリしてクセがなく優しい味わいで、和歌浦の夕景を見た後の夕食に合わせやすい立地です。こちらも夜営業のみです。
まるやま 小松原店(車庫前系・和歌山城の南)
和歌山市小松原6-1-14。営業は11時〜15時と17時〜深夜1時30分、月曜定休。ストレート細麺とスープのバランスが良く、昼も夜も開いている車庫前系はこの店が貴重です。和歌山城や県庁の近くなので、観光の合間に組み込みやすいです。
元車庫前 丸宮中華そば本店(車庫前系・毛見)
和歌山市毛見1130-3。営業は11時〜14時と17時30分〜20時30分、月曜定休。自家製の細麺とコクのあるスープが特徴です。毛見は和歌山マリーナシティのある地区なので、マリーナシティ観光の前後に寄る人が多いです。昼は14時までと短いので時間に注意してください。
丸京 中華そば(車庫前系・雑賀町)
和歌山市雑賀町120。営業は11時〜14時と16時〜21時、木曜定休。醤油で豚骨を煮込んだ伝統の味で、観光客より近所の常連が中心の落ち着いた店です。市街地の南寄りにあり、丸三や丸木と組み合わせて回る人もいます。
| 店名 | 系統 | 営業時間 | 定休日 | 昼/夜 |
|---|---|---|---|---|
| 井出商店 | 井出系 | 11:30〜23:30 | 木 | 昼・夜 |
| 山為食堂 | 井出系 | 11:00〜17:00 | 日・祝 | 昼 |
| 丸三 | 井出系 | 11:00〜20:00 | 日 | 昼・夜 |
| 正善 | 井出系 | 11:00〜21:00 | 木・第3水 | 昼・夜 |
| まるイ 中之島店 | 井出系 | 18:00〜深夜1:00 | 日 | 夜 |
| まるイ 十二番丁店 | 井出系 | 11:00〜21:00 | 無休 | 昼・夜 |
| 丸田屋(各店) | 井出系 | 11:00〜15:00/17:00〜22:00 | 月 | 昼・夜(店舗で異なる) |
| 本家アロチ丸髙 | 車庫前系 | 17:30〜深夜3:00 | 日・月 | 夜 |
| 丸木 | 車庫前系 | 17:00〜23:00 | 月・第3火 | 夜 |
| まるやま 小松原店 | 車庫前系 | 11:00〜15:00/17:00〜深夜1:30 | 月 | 昼・夜 |
| 丸宮本店 | 車庫前系 | 11:00〜14:00/17:30〜20:30 | 月 | 昼・夜 |
| 丸京 | 車庫前系 | 11:00〜14:00/16:00〜21:00 | 木 | 昼・夜 |
表の数値は和歌山県公式観光サイトの特集(2026年3月13日公開)に掲載されたものです。価格は店ごとに異なり公式には一覧がないため、各店でご確認ください。
早すし・ゆで卵・自己申告|和歌山市のラーメン店で迷わない作法
和歌山市のラーメン店には、他県の人が戸惑う独特のルールがあります。和歌山市観光協会の「ラーメンの説明書」がまとめている内容を、地元の感覚を添えて説明します。

- 水はセルフです。冷水機からコップに自分で入れます。席に水が来ないのは放置されているわけではありません。
- 注文は「中華」で通じます。「ラーメン」と言っても構いませんが、店員が「中華一丁ね」と確認し返すことがあります。
- 卓上の早すしとゆで卵は自由に食べてよいものです。早すしは鯖の押し寿司で和歌山の特産品、酢の加減が和歌山の中華そば独特のまったりしたスープによく合います。ラーメンを待つ間に1つ、というのが地元の食べ方です。
- 勘定は自己申告です。伝票ではなく「中華1つと早すし1つ、卵1個」と食べた分を自分で申告して支払います。殻や皿を残しておくと数えやすいです。
早すしとゆで卵は有料で、値段は店ごとに違います。食べていないのに申告してしまう人はいませんが、逆に食べた分を忘れる人は多いので、席を立つ前に数えておきましょう。この「卓上から勝手に取って最後に申告する」文化は、屋台の時代に客が自分で取って食べていた名残だと言われています。
和歌山駅・和歌山市駅からの回り方|和歌山市のラーメン食べ歩きルート
和歌山市には鉄道の玄関口が2つあります。JR和歌山駅と、南海電鉄の和歌山市駅です。この2駅は約2km離れていて、名店はその間と南側に散らばっています。電車で来る人は、徒歩圏の店と車や路線バスが必要な店を分けて考えると効率が上がります。

- JR和歌山駅から徒歩圏:井出商店(田中町)。駅の南西方向に歩いて行けます。
- 和歌山城周辺(両駅の中間):まるイ十二番丁店、まるやま小松原店、山為食堂(福町)。和歌山城観光と組み合わせやすい一帯です。
- アロチ(友田町・夜):本家アロチ丸髙。JR和歌山駅と和歌山城の間にある繁華街で、飲んだ後に歩いて行けます。
- 車で南へ:丸三(塩屋)、丸京(雑賀町)、丸木(和歌浦)、丸宮(毛見)。和歌浦や和歌山マリーナシティと同じ方向です。
- 車で北へ:正善(直川)、丸田屋。阪和自動車道の方面です。
地元民の定番は、昼に井出系、夜に車庫前系の2軒を1日で回る組み方です。昼は井出商店か山為食堂で濃厚な一杯、夕方は和歌浦で夕日を見て夜に丸木か丸髙で軽い一杯、という流れなら系統の違いがはっきり分かります。麺の量が少なめなので、普通の食欲なら2杯は無理なく入ります。
和歌山市は観光マップのページで「和歌山ラーメン味めぐりまっぷ」を公開しています。店の位置を一覧で確かめたい人は、出発前にこの地図を保存しておくと便利です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 呼び方 | 地元では「中華そば」「中華」 |
| 系統 | 井出系(豚骨主体の濁った豚骨醤油)/車庫前系(醤油が立つ澄んだ豚骨醤油) |
| 麺とスープ | 麺100〜120gと少なめ、スープ多め、細めのストレート麺 |
| 卓上 | 早すし(鯖の押し寿司)・ゆで卵。自由に食べて最後に自己申告 |
| 価格 | 店ごとに異なるため要確認 |
| 玄関口 | JR和歌山駅、南海和歌山市駅 |
| 駐車場 | 店ごとに異なる。市街地中心部の店は近隣コインパーキング利用が多い(要確認) |
| 公式情報 | 和歌山県公式観光サイト特集、和歌山市観光協会「ラーメンの説明書」、和歌山市観光マップ |
地元民が教える和歌山市のラーメン店選びで失敗しないコツ
初めての人がよくやる失敗は、系統を確かめずに評判だけで店を決めることです。濁った濃厚スープを期待して車庫前系に入ると「薄い」と感じ、逆に軽い一杯を求めて井出系に入ると「重い」と感じます。まず自分が濃厚派か醤油派かを決め、前の章の表で系統を確かめてから店を選ぶのが一番の近道です。

- 昼と夜で開いている店が違います。丸髙・丸木・まるイ中之島店は夜のみ、山為食堂は17時までです。「夜に行ったら閉まっていた」が和歌山市で一番多い失敗です。
- 日曜・月曜は休みの店が多いので、週末旅行なら土曜にラーメンを組み込むか、無休のまるイ十二番丁店や木曜休みの井出商店を候補にしてください。
- 中休みに注意してください。丸宮・丸京・まるやま・丸田屋は昼と夜の間が閉まります。14時前後に着くなら通し営業の井出商店・丸三・正善が安全です。
- 行列は開店直後と13時過ぎを狙うと短くなります。有名店の12時台は地元の会社員と観光客が重なります。
- 麺の量は少なめです。足りない人は大盛りにするより、早すしやゆで卵を足すのが和歌山らしい食べ方です。
車で回る人は、市街地中心部の店は駐車場が小さいか無いことが多く、近くのコインパーキングを使うことになります。塩屋や毛見など郊外の店は駐車しやすい傾向がありますが、台数は店ごとに異なるため事前にご確認ください。
和歌山市のラーメンと合わせたい周辺のおすすめ
ラーメンだけで和歌山市を終えるのはもったいないです。1杯目と2杯目の間に組み込みやすい場所と、合わせて読みたい記事を挙げます。
- 和歌山の名物グルメ:早すしや茶粥など、ラーメン以外の和歌山市の味を知りたい人向けです。
- 和歌山観光モデルコース:和歌山城や和歌浦を回る日帰りルートにラーメンを組み込む参考になります。
- 和歌山マリーナシティ:丸宮本店のある毛見にあり、黒潮市場とセットで回れます。
- 和歌山あるある:「中華行こか」をはじめ、地元の人の言い回しが分かります。
よくある質問
和歌山市のラーメンで一番有名な店はどこですか?
全国的な知名度では井出系の名の由来になった井出商店です。一方、車庫前系の起源とされる丸髙の名を継ぐ本家アロチ丸髙も、和歌山ラーメンの歴史を語るうえで外せない店です。濃厚派なら井出商店、醤油派なら丸髙と、好みで選ぶのが良いです。
井出系と車庫前系はどちらが「本物」の和歌山ラーメンですか?
どちらも本物です。和歌山県公式観光サイトの特集によると、車庫前系は1940年の丸髙の屋台、井出系は1953年の井出商店の屋台が起源で、どちらも和歌山市で生まれ育った味です。全国でイメージされるのは井出系ですが、地元では両方が日常の中華そばです。
卓上の早すしとゆで卵は無料ですか?
有料です。自由に取って食べ、会計のときに食べた数を自分で申告して支払います。値段は店ごとに異なります。和歌山市観光協会の「ラーメンの説明書」でも、この自己申告の仕組みが和歌山特有の文化として紹介されています。
日曜日に和歌山市でラーメンを食べられる店はありますか?
あります。県公式観光サイトの特集では、まるイ十二番丁店が無休、井出商店が木曜定休、丸京が木曜定休、まるやま小松原店・丸宮本店・丸木・丸田屋が月曜定休と掲載されています。日曜・月曜定休の丸髙、日曜定休の丸三と山為食堂(日祝休み)は避けてください。営業日は変わることがあるので訪問前に各店でご確認ください。
JR和歌山駅から歩いて行けるラーメン店はどこですか?
井出商店(田中町)が駅から徒歩圏です。和歌山城周辺のまるイ十二番丁店や山為食堂は、駅から歩くと距離があるので路線バスやタクシーの利用が現実的です。
まとめ|和歌山市のラーメンは系統を決めてから店を選ぶ
- 和歌山市のラーメンは地元では「中華そば」。豚骨主体で濃厚な井出系と、醤油が立ってスッキリした車庫前系の2系統があります。
- 市内の名店11軒のうち、丸髙・丸木・まるイ中之島店は夜のみ、山為食堂は17時まで。日曜・月曜休みの店が多いので曜日と時間帯を先に確かめましょう。
- 卓上の早すしとゆで卵は自由に食べて最後に自己申告。水はセルフ、注文は「中華」で通じます。
- 麺は少なめなので、昼に井出系・夜に車庫前系の2軒回りが地元流です。
- 営業時間と定休日は和歌山県公式観光サイトの2026年3月時点の掲載値です。訪問前に各店の最新情報をご確認ください。
次に読むなら、ラーメン以外の味をまとめた和歌山の名物グルメと、1日の回り方を決める和歌山観光モデルコースがおすすめです。




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